永久への約束 ~とわへのやくそく~

秋の空

第弐羽 「竜也」

その人を想い

そして、時に厳しくする

その形の一つ


その人との接触を拒み

その人を遠ざける事

ただ

どんな理由にしろ

その言葉は

時として酷く残酷になる・・・

「俺の知り合いに『司』なんて奴は・・・おらん」






その言葉を聞いた瞬間、司の心に忌わしい記憶が蘇る・・・
司は子供の時から少し他の子供とは違っていた。
髪は他の子とは違い美しいまでの白、そして、何より司は異能力者だった、司は自然のものから心に映した物を作り出す事が出来たのだ。
その力は強く、それを知った司の父と母は司を家から追い出した。
唯一味方と思っていた両親に拒絶され、そして家を追い出された司は、町をさまよう。
自分を受け入れてくれる場所なんかこの町には無い、そう思いながらも夜の町を歩きつづける。
だが、司は自分にこんな仕打ちをした者を憎みはしなかった。
それどころか『嫌われるのは自分のせいだ。』とまで思っていた。
そして司は歩く、とぼとぼと何処へ行くでもなく、ただ歩きつづける。
そして、運命の夜・・・
司はそんな生活から逃れたくて、川に飛び込んだ。
夜の川は予想以上に冷たくて、暗くて、そして深い・・・泳げない司からしてみればそれはあまりにも都合のいい事だ。
だが、その時偶然通りかかった一人の男の子によって司は助けられてしまった。
司は憎んだ、生まれて初めて憎しみと言う感情を覚えた。
だが、その憎しみは助けてくれた男の子にではなく、自分をこんな目にあわせて、なお生きる事を求める神を。
そして同時にその男の子に自分と似たものを覚えた。普通の生活を追い出された、それに似た感覚をその男の子から感じた。
そのせいか司はその男の子とよく遊ぶようになった。
いつまでも、いつまでも、日が暮れるまで。
そんな日々が続く。
はずだった、だが司は間もなくこの町を離れる。
陰陽寮に今の力をコントロールする方法を学びに・・・
そして、司とその男の子が最後に交わした約束、それが・・・



「それが、それが、また帰ってきて一緒に遊んで、一緒の学校に行って、そして、そしてまた一緒に暮らそう。そう言ってたのに、それなのになんで、何でそんな事を」

司が絞り出すような声で竜也に叫ぶ。ただ、その想いが届く。それだけを想い。
だが、竜也の口からは先ほどの冗談のような言葉は出てこなかった。
その代わりに出てきた言葉は・・・

「誰のことを言うてんのか解らんけど・・・ええ迷惑や、俺はこれから用事が有るからこれで行かせてもらうで」

そう言い残し歩いていってしまった。
残された司は、ただ竜也の歩いていった方向を眺めるだけだった。



そして、場所は変わりここは竜也の家、通常の家とは違い豪邸と言う表現が当てはまるような、そんな家、門の所には大きく『神龍組』と書かれた看板が掲げられていた。
その家の一室竜也の部屋では・・・

「アホが・・・そんなん言える筈・・・無いやろ」

竜也の悲痛な叫び、誰に言うでもなくただ呟くという感じの言葉。

「こんな・・・こんな家業の事なんか知ったら・・・お前も俺から離れて行く・・・俺は・・・俺は、お前にだけは嫌われとお無いんや」
「何で嫌われるの?」
「そんなん決まっとる・・・俺が・・・俺が極道のガキやからや」

悲痛な叫び、が、そこでふと気づく。

「誰や!!!」

竜也は慌てて辺りを見回す・・・そして、その人物は窓に座りこちらを見つめていた。
司だった、悲しそうな、そしてとても嬉しそうな顔をした司が竜也を見ていた。

「私には、私には竜君を嫌いになる資格なんてないよ・・・」

俯き、心から言葉を紡ぎ出す司。

「だって私は、ここに帰ってくるために・・・竜君のところに帰る為にたくさんの事をしてきた・・・それこそ、竜君よりも酷い事をしてきたかもしれない。」

司は顔を上げ竜也を真直ぐに見てなおも言葉を続ける。

「だけど、だけどこれからはもうそんな事はしない、しなくて良いんだよ、竜君と再会できたから・・・」

そう言って司の顔が喜びへと変わって行く。だが、その顔が無理をしている顔だというのは竜也じゃ無くても解るほどの物だった。

「だから、だから拒まないで・・・これからはずっと一緒だよ」

竜也はそんな司を胸に抱きしめる。
そして一言・・・

「お帰り、司」

それが竜也にできる精一杯の司への謝罪だった。

「ただいま、竜君」

それに司も笑顔で答える。



司の陰陽解説コーナー

ぱふぱふ ドンドンドン

ど~もです♪
この小説の主人公兼ヒロインの司です。
え~と・・・今回も何も出てないですね・・・
えっと~・・・
あ、そう言えば作者さんから手紙が来てたんだった。
・・・・・・・・・
・・・ただいま解読中・・・
・・・・・・・・・
え~と(汗
このコーナーは今日から閉店して
キャラクターによるフリートークにしようとの事です・・・(滝汗
良いのかな?
という事でこのコーナーも今日が最後ですね~。
名残惜しいです・・・
あ、もちろん専門的な用語なんかは解説しますよ。
それでは皆様、また次回です~。