第五話 ボンッキュッボンッとストーン
 二十個揃ったのを確認して、急いでドワーフ村へ帰還する。
 そして、ウィーフィーへ渡した。

「ゴクロウサマデシタ。ソシテアリガトウゴザイマス。コレガオヤクソクノモノデス」
「二枚?」

 ウィーフィーはゲートキーパークーポンを二枚渡してきた。

「イッカイニツキイチマイノツカイキリデス。ワタシシカツカエマセンノデ、ゴリカイヲ」
「うん、わかった。じゃあ、さっそくお願い」

 そういうと二枚のうち一枚をウィーフィーに渡した。

「リョウカイシマシタ」

 ウィーフィーがそう言うと、彼女の視界が暗くなった。




(なんじゃこりゃぁぁぁっっ)

 一瞬目の前が暗くなったと思ったらすぐに明るくなった。

「へ?」

 見たことがない景色が広がる。立派な神殿があり、沢山の建物が建っている。なにより、ドワーフ村ではお馴染みの雪が一切ない。

「ほへー。ここが、グルーディン村かー」

 彼女はすぐに理解した。
 とりあえず、おのぼりさんごとく周りを見回した。広すぎてよくわからないので、町の中を探してみることにした。
 グルーディンの港の村にはドワーフ村と違い、色んな種族がいる。山の中にいた彼女には物珍しかった。

(うわー。大胆な服着た黒いおねーさんだ。おいらは…着れないな。)

 彼女が見たのは、ダークエルフという種族の女性。青褐色の肌に銀髪が特徴だ。ただ、彼女は少しへこむことになる。
 ダークエルフ女性は背が高く(170cm超)、体型もボンッキュッボンッである。それに比べてドワーフ女性は背が低く(140cm以下)、体型はほぼストーンである。

(なんかうらやまくやしい。種族の違いと言えばそうなんだけどね。)

 と、思いつつ見てたら目があってしまう。

「ん?」

(目があってしまった!)

「私に何かようかな? ヒューマンのお嬢ちゃん?」
「私はドワーフだ! ヒューマンの子供ではない!」
「あら、ごめんなさい」

 二人が並ぶと視線が思いっきり違う。彼女の目線では、相手の胸あたりになっしまう。

(やっぱ、うらやまけしからん。)

「私を見てたようだったから、何かようかなと?」
「あ、いえ。ただ、ここに来たばかりだったから、キョロキョロしていたです。呼び止めてしまったようですみません」
「そうなんだ。そうなると探し物かな?」
「えっと、倉庫探そうかとしてたんですが」
「倉庫? 倉庫なら、そこの街を分断するように走ってる道の向こう側よ」

 ダークエルフ女性は、指をさしながら教えてくれた。

「すみません。教えていただきありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして。困ったときはお互いさまよ」

 と、言って二人はわかれたのだが…

(う~。私もあのぐらいになりた…… うらやまくやしい)

 …彼女は相変わらずだった。




 道を挟んで反対側にやってきた彼女は、無事倉庫を発見した。中に入り、倉庫番ラウトに話しかける。

「何かようか?」
「マスタートンマからこれを届けてほしいと頼まれたのですが」

 玉の包みをラウトに渡した。

「トンマ…? トーマの事か」
「これで借金を返すと言ってましたが」
「何だって。これで借金を返すだって? これじゃ俺に借りた金の十分の一にもならん!」
「は?」

(あの野郎…! 次は土に返しちゃる…! ムカムカ。)

「ふむ… 訳ありのようだな…」
「訳ありというより、トンマのせいだと思います」
「確かにな。よし、あんたがあの詐欺師の代わりに一つクエストをしてくれたら借金は返した事にしてやる。どうだ?」
「何で私ががあんなのの借金肩代わりしないといけないのですか?」
「その気持ちはよくわかるぞ。でもあの詐欺師トーマの奴が俺に必ず返すと預けた品物が何か知ってるか?」
「いえ」
「スカベンジャーの印だ」
「なんだって~!? あの野郎そんなものをっっ! そんな大事な物を……」

 愕然とする彼女。

「わしの見たところ、スカベンジャーの転職クエスト中だな。まさにあんたが望んでいるスカベンジャーの印だ」

 ラウトにはっきり言われ、彼女は頭を抱えた。

「残念だが、これで何で俺の頼みを聞かなきゃいけないだろ?」
「ぐぬぬ。とりあえず奴を土に返してきていいですか?」
「奴を土に返す前にやるしかなかろう?」
「ぐぬぬ」

 もはや唸るしかない彼女を見て、ラウトはため息をついた。

「とりあえず、話すぞ?」
「…… お願いします」

 彼女はとりあえず気持ちを切り替える。トーマの事は端っこに追いやった。

「まあ、頼みといっても配達を頼みたいだけだ」
「配達?」
「ああ。 俺には悩みの種の甥っ子が一人いるんだが、こいつがある日自分はドラゴンバレーのモンスターにも品物を売れるとハッタリをかまして友達にからかわれたらしい」
「ド…ドラゴン……」

 ドラゴンバレーという場所は彼女は知らないが、ドラゴンという言葉で恐怖した。実物は知らないが、話ではよく聞いていてる。その破壊力と強大さを。

「そしたら、次の日倉庫の品物をそーっくり持って消えたんだ」
「行ったんですね… そのドラゴンなんたらへ…」

 無言でうなずくラウト。

「あんたが行って見つけ出してくれ」
「は!? 配達じゃないの!?」

 驚く彼女。ドラゴンがウヨウヨいるところに人探し、いやドワーフ探し。自分自身の危険もある。おもわ顔を青ざめた。

「そんな奥に行ってないと思うけどな。勇気があるやつじゃないしな」
「で、でも…」
「で、これを帰還スクロールだと言って甥っ子にこれを利用して戻って来いと言ってくれ。じゃ、頼んだぞ」

 ぽいっとこちらにスクロールを一枚投げよこした。

「………はい」

 とりあえず、気を取り直す彼女。

(怖がってばかりじゃ、前に進めない。一人前になれない! さてと、ここはドワーフ村じゃないから地図が使えないわ。地図買わないと。)

 ドラゴンバレーの場所がわからないので道具屋で地図を買うことにした。そして、地図を購入すると広げてドワゴンバレーの位置を確認する。

(……… なんじゃこりゃぁぁぁぁ!)

 心のなかで思わず叫んでしまった。
 グルーディン村は地図で言うと左端にあった。道なりに進んで、グルーディオ城の村、ディオン城の村、そしてギラン城の村手前の三叉路を北上したところにドラゴンバレーがあった。
 地図上では右端になる。

(なんかものすごっく遠いのね。ま、行くしかないのよね。)