第四話 グルーディン港の村への道
「疲れがとれた気がしない…」

 次の日の朝。第一声、これである。
 前日、三百匹近いクモとクマを相手に戦ってきたのだ。肉体的に疲れていた。
 また、トーマの変な試練で精神的にきている。
 とりあえず、マスタートーマを探すことにした。村から歳最寄の炭鉱へ見に行く。




 マスタートーマは炭鉱の奥深くにいた。

(いたいた…… なんでこんなのにスカベンジャー認定の権限を与えたんだろ…)

 ドワーフの各ギルドの長老たちが集まって決めたはずである。
 やはり、性格より能力重視なのであろう。


「マスタ~トンマ~」

 彼女の中では、トーマではなくトンマで固定されてしまったらしい。

「ん? 何かしら?」
「依頼の玉を持ってきました」

 そう言ってトーマへ玉を渡した。

「ぴかぴか光る玉。お疲れ様」
「はぁ…」

 機能と同じ調子である。呆れるしかなく、出るのはため息であった。

「これからこれを私の友達に届ければ試練は終わりだわ」

 彼女は聞きたかった言葉を聞いた。
 内心ガッツポーズをとる。
 が、しかし。

「前に借りた酒代をこれで返すんだって言ってよ。友達はグルーディン村で倉庫番してるラウトっていうんだわ」

 とんでもないことを言い出すトーマ。
 唖然とする彼女。

(……借金を返すために私に集めさせたのかーーー!!! ふざけんなー!!!)

 酷い現実。
 そんな彼女の思いに気づかず、トーマは玉を布で包み彼女に渡した。

「じゃ、頑張ってね~」
「やっぱ、兄妹よね」
「どうしたの?」
「とりあえず殴っとくべきよね?」
「え? ちょっとそれはどういう……」
「返事は聞いてませんので。せ~の!」

 拳に素早く格闘武器を装着する。

「あ?あ?え?」
「うおりゃぁぁぁぁ!!!!」

 トーマを殴り飛ばした。

「きゃいん!」

(こんなんでスカベンジャーになれるの? 何かこき使われている様な気がするわ…)




 それから数時間後の事。

「………… ブツブツ…… ケケケ…」
「おおぁ!」

 炭鉱に狩りをしにきてたあるドワーフが驚きの声を上げた。
 変な声がするので上を見上げたら、天井に埋め込まれ、天井の一部になってしまっているトーマを発見したからだ。
 どうやら、彼女の怒りの一撃は凄まじかったらしい証拠でもある。

「何か埋まってるな…… あれ、マスタートーマじゃねーか。ま、いっか。しかし、さらに変な趣味を持ったのう……」

 ただの趣味だと思われ、救助どころか華麗にスルーされたトーマであった。哀れ。




 トーマをとりあえず殴った彼女はドワーフ村へ戻ってきた。

「そういえば、グルーディン村って何処かな? 聞いたことないけど…?」

 彼女はまだ村周辺から出たことがなかった。それ故にドワーフ村以外の村を知らない。

「情報収集だね」

 村人たちやどうやってきたかわからない緑の巨人(オーク)に聞きこむ。
 その情報を統合するとこうだった。グルーディン村はアデンと呼ばれる大陸にある港町らしい。
 ただ、昔のアデンとエルモアの戦争で国境は断絶状態のため、歩いていけない。もし、歩いて行ってもむちゃくちゃ遠いらしい。
 緑の巨人(オーク)曰はく、ゲートキーパーでなら行けるとのことで、ゲートキーパーに聞くことにした。




「ちょっといいですか?」
「ナンデショウ?」

 ドワーフ村のゲートキーパーウィーフィーは、ドワーフの技術の粋を集めた機械人形である。つねにガシャンガシャンいっている。

「ここから、グルーディン村?へは、幾らかかりますか?」
「グルーディンコウノムラデスネ? 3,000アデナニナリマス」

(3,000? あるかなー? げ。1,000もない。どうしようかな… これじゃいけないよ。)

 腰のポシェットから蝦蟇口を取り出して所持金を確認した。
 ノングレードソウルショットを大量買いしたため、残金がほとんどなかったのである。

「おまけして?」

 ダメ元に聞いてみた。

「ムリデス」
「だよね~」

 そのとおりの返事か帰ってくる。

「ゲートキーパークーポンガアレバ、ムリョウデオオクリシマスヨ」
「ゲートキーパークーポン?」
「ワタシノエネルギーゲンデアルスターストーンヲ20コモッテクレバ、ムリョウデサシアゲテマス」

 なんと自分の稼働燃料も自給自足に近い。
 さすがに驚いたが、のって見ることにした。

「うん、わかった。ちょっととってくるね。そういえば、どこに行けばいいの?」
「カイガンセンニイルスターストーンハホワイトストーンゴーレムガオトシマス。オキヲツケテ」
「ありがと~」

 再び海岸線へ向かうことになった。

(痛いんだけど、スカベンジャーのためよね。)




 ホワイトストーンゴーレムは比較的数が少ないようだ。
 絶滅危惧種なのでは? と、彼女は思ったがとりあえず狩ってみることにした。
 ただ、ストーンゴーレムの類なので弓ではほとんど役にただないほど防御力が高い。彼女の狩りのスタイルである引き狩りができない。
 ここは拳で語り合うしかない。攻撃力も高いので思いっきり痛い。
 しばらくして、五十体ほど倒したころスターストーンが二十個揃った。

(これで、グルーディン港の村へ行ける…!)