第三話 マスタートーマの依頼
(なんか全力で騙されてるかんが出てきた。なんかこう怒りがフツフツと……)

 そんなことを考えながら今、一体のハンターベアーを殴り倒した。そのとき、魔方陣が現れた。

「ほへ?」

 その魔方陣から毛色の違ったハンターベアーが現れた。

「派手な現れ方を…こいつが、ハニーベアーね」

 ここまで苦労したので、相当強いんだろうと彼女は決死の覚悟を決めた。
 そして、ハニーベアーにスポイルをかけ、攻撃に移る。
 しかし、数回殴ったら沈んだ。あまり強くなかった。

「よ、弱い…… なんか拍子抜け……」

 単純に戦いすぎて彼女が強くなったせいでもあるが、彼女は気がついてない。

「おっと、スウィーパーしないと」

 スウィーパーをかけると壺で得た。中に蜂蜜が入っているようだ。

「これかー。大体二十五匹ぐらいで出てくるんだね。それならよーし。ガンガン殴りますか! こうなったら滅ぼしちゃる~」

 半分やけくそ気味であった。




「やっと五個そろった……さて炭鉱へ……って……はぁ、そうか。あのトンマ探さないと…」

 疲れきってその場にへたり込む。どうやら、必ずスウィーパーで得られるわけでなく、結果二百匹近いハンターベアーを倒していた。
 ちなみにハンターベアーは絶滅してない。

「炭鉱と海岸と東の端だったかな…?」

 地図を広げ、今いる位置を確認する。一番近いのはもちろん海岸。海沿いを走ってみることにした。
 しばらく、走っていると海岸の岩山の上に人影を発見。マスタートーマだ。

(よかった~ 近くにいて~ っととっと、ここら辺はなんか出鱈目に強いトカゲが何匹かいるから気を付けないと…)

 出鱈目に強いトカゲこと、クルーデルリザードマン。今の自分が十人ぐらいいないと倒せないと思われる強敵だ。もちろん彼女は戦ったことはない。
 その目を盗んでトーマのいる岩山へ近寄る。そして声をかけた。

「マスタ~トンマ~」
「ん? 何かしら?」
「依頼の蜜持ってきました」

 そう言ってそして壷を渡した。
 マスタートーマは受け取り確認するといきなり食べ始める。

「きゃ~ほんとにおいしい~」

 無我夢中になっていた。

「あ、あのー」
「あ、あら。貴女誰?」

 食べるのに夢中で忘れたたらしい。
 彼女はジト目でトーマを見る。

「あ、ああ。ごめんなさいね。美味しくて夢中になっちゃったわ」
「もしかして遊んでません?」
「まさか~。あは~」
「ならいいんですケド。これで終わりじゃないですよね?」
「はいはい。で、次は怪物狩りだわ。タランチュラを捕まえて奴らが抱いている玉持ってきて」
「玉?」
「そそ。ハンタータランチュラやプレデタータランチュラが持ってるわ。いっぱい~いっぱい~持って来て。少なくとも二十個はね~」
「必ず得られるんですか?」

 ハニーベアーの時には聞き忘れた事項だ。また、二百匹も倒している余裕はない。

「どうかしら? あ、でもね。スウィーパー忘れないでね」

 そう言って、タランチュラの図鑑を貰う。

「………わかりました」
「よろしくね~」

(次の試練ね。転職の試練は一筋縄に行かないわ。でも、壷集めよりは楽かな…… ありえないな。)

 気を抜きそうになったが全力で否定する。

(さてと、狩りますか。)




 海岸線にそって東へ、しばらく進むとハンターベアーの数が減っていき、タランチュラ類が増えていく。
 そして、ハンタータランチュラ、プレデタータランチュラがうようよいる地帯。勝手に歩き回っているように見えるが、仲間意識が強い。
 一体が殴られているとすぐ集まってくる。彼女は、出来るだけ仲間から離れているタランチュラを探して狩ることにした。
 ゴーレム比べれば柔らかいが、数で来られると勝てる気がしない。


「必ず得られるわけじゃないんだ……」

 とりあえず数匹倒してみた。やっと一個だけ取得できた。
 どうやら、前回のクマ同様数勝負のようである。

「ふむ。こうなったら滅ぼしちゃる~!」




 しばらくして…

「ハァハァハァ…… 何十匹倒せば揃うのよ……」

 目の前のプレデタータランチュラを一体殴り飛ばした。そしてビーズをスウィーパーで得る。

「よっしゃ! 後一個ぉ!!」

 思わずガッツポーズをとる。
 まだ、百は倒してない。前回より楽だと彼女は思う。
 が、そんな甘くないことをすぐに知るのであった。

「で、次は…… あう… 固まってる……」

 見回すと結構近い場所に三匹ぐらい寄り合っていた。
 お話でもしてるのだろうか。彼女にはクモ語はわからない。
 そこで、弓で一匹を弱らせて殴り倒し、そのまま次を殴る方向へ進めることにした彼女。
 ノングレードソウルショットを装填する。武器に装填することで一時的に破壊力を二倍にしてくれるアイテムである。
 ただし、一回で効果は切れる。連続装填は可能だ。


 三対一の壮絶な戦いが始まった。

「オラオラオラオラオラーーーー!」

 格闘武器には常にノングレードソウルショットを装填している。ハンターベアーをたくさん倒すことを想定して、大量に持ってきていた。
 たくさんの物を持てるドワーフの特権である。


 弓で弱らせていた一匹を倒した。スウィーパー。出ない。

「次っ!」

 ターゲットを次に移行。二匹目。
 こっちは最初から殴り合いである。
 そして、倒す。スウィーパー。出ない。

「出ない! 次に期待して…ラストォ!」

 三匹目。全力全壊で殴る。そして、倒す。スウィーパー。出た。
 やっと最後のビーズをスィーパーで得ることができた。

「くは… やっと二十個……… これをトンマに持って行けばいいのね」

 その場にへたり込む。流石に疲れ切った。

「でも、また探すのか……トンマ…… 明日でいっか、もう…… 疲れたよ、私は…」


 ふらふらのまま、とりあえず村へ戻っていったのだった。