最終話 こっちいったりー、したら終わっちゃった
 ドワーフの少女とグルーディオ城の村へ向かうことになった彼女。ドワーフの中ではおねーさん固定のようである。
 30cmもの背の違いで歩幅も大きく違うことに気がついた彼女は、ドワーフの歩幅に合わせることにした。誘っておいてさっさと行くのはおかしいと思ったからだ。
 このドワーフ、旅自体慣れてないらしい。そこで道すがら、危険度の高いモンスターやスルーしても何もしてこないモンスターを教える。上級者のふりをして。
 ドワーフは感心しきりであった。

(なんか、悪い事している気がしてきたわ……)




 しばらくして、グルーディオ城の村へ到着する。

「ここが、グルーディオ城の村だね」
「ほへー」

 物珍しからか、まわりをキョロキョロ見てるドワーフ。

「私はここで用事あるからお別れだね」
「短い間でしたが、ありがとうございました」
「いえいえ。だた…」
「ただ?」
「ここから先は、今まで進んできた道にいたモンスターより強いのが多いから気を付けてね」
「!?」
「道通りに進めば大丈夫かと思うけど、気を付けることはこしたことはないよ」
「わかりました。ありがとうございます」
「それじゃー、またどこかで会いましょーねー」

 彼女はドワーフへ笑顔で手を振りながら、露店の多い方へ向かった。




 露店をサッと見回った後、目的地である絶望の廃墟へ向かうことにした。
 アドニウスの言った絶望の廃墟とは、グルーディオ城の村の南に位置している。
 元はロストンと呼ばれる村であり、その村の住民で黒魔法によりスケルトンやゾンビになってしまったそうだ。
 そして、今でも救われない霊魂がゾンビやスケルトンに閉じ込められて徘徊していると言う。
 灰色の骨の取得は、閉じ込められてしまった霊魂をアインハザードの元に送ることになるらしい。

(スケルトンは意外と足速いし、痛いし。スケルトン達には悪いけどゾンビにしよう。)

 ゾンビソルジャーとソンビファイターがゆっくりと歩き回っているのが見える。
 足は遅いが、攻撃力は高く、それに体力を奪うライフドレインまで使ってくる。
 ダークメイジである山桜桃は魔法抵抗力が高く、回復魔法ヒールが使えるのであまり怖くはなかった。
 アイスボルトを放って先制攻撃して、ただでさえ遅い足をさらに遅くして、ウィンドストライクを連射して倒していく。

(おや? 一体につき、一個得られんだね。)

 試しに三体ほど倒したところで、三個の灰色の骨を得られたのである。

(楽っちゃー楽なんだけどー。終わったらまたマラソンかー。)

 そんなこんなで、十体倒したところで十個の灰色の骨がそろった。
 ちなみにこの世界では高額のお金をゲートキーパーに渡してテレポートしてもらう以外、走るしか移動手段がない。
 彼女にはそんな大金はなかったので、走るしかない……




 えっちらおっちら、再度グルーディン村のアインハザード神殿へ帰還。

(走るの疲れた……)

「ようこそ、光に従う暗闇の兄弟よ」

 そう言う神官アドニウスに灰色の骨を渡す。灰色の骨をきちんとした葬儀を執り行うと言う。

「これを受け取ってください。貴女が読もうとしていた『アンダリエルの書』です」

(二つの書が揃った・・・これをマジスターシドラに持っていけばいいのかな?)

 アインハザード神殿を後にして、書を歩き読みしながらダークエルフギルドに向かう。

(難しい…… わけがわからんというのが正しい……)

 ダークエルフギルドにつくとマジスターシドラに会い、二つの書を見せる。
 マジスターシドラはそれを確認すると静かに言う。

「貴女が手にした二つの文書は断片的でありますが、太古の神々が歌っていた創造の歌の一部分が盛り込まれたものです。その貴重な一節一節を一つ一つ読みながら、その中に込められた力と権勢の能力の真実を発見されたことと信じています」

(あたし自身、よくわからないけど…… 正直わけわからんかったし……)

「今から貴女に『アビスの玉』をお贈り致します」

 青い球をマジスターシドラから受け取る。

「これは…?」
「貴女はシリエンオラクルになる資格を獲得されましたので、アビスの玉を持って堂々とグランドマスターを訪ねて行き、転職を要請してください」

 そこで近くに居たグランドマスタートビアスに玉を渡すことにする。さすがにグランドマスター相手に堂々とは渡せなかった。もちろん震えているのは自分でもわかっている。

(あたしのような駆け出しが堂々と会える相手じゃないわよ……)

 グランドマスタートビアスはアビスの玉を彼女から受け取ると静かにこう宣言した

「おめでとう。とうとう君は誇らしいダークエルフのシリエンオラクルになった。まだシリエンオラクルとしての人生がぎこちないかもしれないが、心配する必要はない。隣に居るマスターから一つずつ習っていけばよい」

(やった! でも、浮かれている場合じゃないわ。これからなのよ。……わけわからんかったし。)

「これからもシーレンとグランカインの名前を輝かせ、皆を脅かしてやる我がダークエルフ一族の誇り高いシリエンオラクルになってくれ。我が一族の誇り高い司祭、シリエンオラクルになった事を、もう一度祝ってやろう!」




(まだ始まったばかりだし、頑張っていきましょう!)