友達以上、恋人未満…それが今までの私達。
そんな二人でも、いろんな思い出が作れた。


だけど、恋人以上…ずっと、そんな二人でいたい。
でも、恋に目覚めた私の想いは、それでは満たされないから。
溢れ来る想い、うけとめてほしいから。


失敗したら後戻りのできない、
そう、貴方に会えなくなるかもしれない、
…満たされる幸せ、そして、失うことへの不安
…逃げられない葛藤

恋人以上、友達未満……これは私の賭け……結果は、All or Nothing。









蒼き新星45万HIT記念
 
系譜
第1章 秘められた想い
 
第3話 友愛
 
シルビア








【浩】

秋子が言っていた。

『本当は私から言ってはいけないことだけど
 ……でも、雅の気持ちを分かってあげられるのは、きっと、浩君だけかもね。
 ………………浩君、雅の事、どう思っている? 教えて』

俺は…秋子の言葉に本心で答えられたのだろうか?

『雅の事どう思っているかって? ……親友だよ、大切な親友』

これが俺の本音なのだろうか……どうも良く分からない。



確かな事は……俺は雅が心配だということだ。

幼い頃からずっと一緒に遊んできた雅は、俺にとって大事な子だ。
だから、雅が悩むなら、俺は雅の悩みを聞いてあげたい。
とはいうものの、何を雅にしてやれるのだろうか? ……何もできないかもしれない。

それでも、こうして雅に会いに来ている。
雅と話がしたくて、こうしてここに来ている。

『 お願い、浩君、浩君が直接雅から彼女の気持ちを聞いてあげて。
 今の雅には、浩君の言葉しか、きっと通じないから……私でも、ダメなの』

秋子の言葉の意味、やっぱり分からない。
でも、俺にできることは雅から気持ちを聞いてあげることだと、秋子は言い切った。

今は秋子の言葉を信じてみよう。
俺にしかできないというのが正しければ、俺がするしかないのだから。

理由は分からない……だが、俺の指は雅の家の呼び鈴のボタンを押していた。
ピンポーンという反応があって、しばらくの間があって、玄関の扉をあける雅の姿が見えた。
いや、空いていない……半開き……防犯チェーンがかかっているのが見える。

「浩君……」

雅は扉の先に俺がいるのを知っていたようだ。
そりゃそうだ、扉の小さな覗き窓から、俺の姿は見えていたはずだから。

「雅、俺だ。……何故、学校を休んだ?」
「ごめん、体調が悪くて…」
「嘘だな……俺には、体調が悪い奴の声とは思えないぞ?
 どちらかと言えば、迷っているような、悩んでいるような、そんな声だ。
 俺は鈍感かもしれないが、雅のことなら、それぐらい分かる」
「……………」
「入れてはくれないのか?」
「ごめん……浩君でも……今は会いたくないの」

やっぱり雅は何か悩んでいる……雅の口調にはっきりと現れているようだ。
雅は俺に向かって、めったなことで、会いたくない、なんて言葉を言わない。
むしろ、その逆だからな。

「俺にも話せないような悩みなのか?
 ……秋子が言っていたよ、俺が雅と直接話してあげてほしいと。
 俺にもよく分からないが、それが今の雅の気持ちなのか?」
「そう…秋子が……」
「水くさいぞ、雅。悩みがあるなら言えよ。
 俺の失恋の時には、笑顔でいろと言っておいて、自分はふさぎ込むのか?」

俺がそういうやいなや、雅が玄関扉を閉めた。
だが、しばしの間の後、扉越しに雅の言葉が聞こえてきた。

「浩君が……聞いたら……きっと……後戻りができなくなるよ。
 抑えきれなくなるから…………それでも聞いてくれる?」
「だから……水くさいといっている。
 ……雅の話を俺がふざけて聞いたことあるか?
 後戻り? 何だ、それは? 先が怖くて人の悩みなんか聞けるモノか」
「………………そうだね」

扉が開いて、俺の前に雅の姿が見えた。

「浩君……上がって。
 でも、少しの間、ここで待っていてくれる。
 私、その間に、部屋を片づけておきたいの」
「ああ、構わない。突然来たのは俺の方だしね」
「ありがとう。すぐに済ませるから」

俺は雅の家にあがり、リビングのソファーに腰かけた。
最近、雅の家に来てなかったから、ちょっとドキドキするかな。
俺はリビングで雅の淹れてくれたコーヒーをすすりながら、時間を潰した。

こうして見る限り、今日は、雅の家には、雅の他に誰もいないようだな。
いつもは俺が来る度に、母親がにこにこと顔を出してきては、うちの雅と一緒にならない〜、なんてからかわれていたものだ。
雅のお節介好きはあの母にしてこの子あり、そんな風に思ったこともあった。

「お待たせ〜。……ね〜、浩、私の部屋にきてくれないかな?
 ここでは、ちょっと話辛いから」

階段の上から雅の声が聞こえる。
ここの階段、妙に角度があるんだよな、ここでこうして立っていると、スカートの中がのぞけてしまったものだ。

……えっ? あわわ……

そう考えていた不埒な俺の視線は、一瞬だが、雅のスカートに釘付けになった。
スカートというよりも、めくれたスカートの中というのが正しい表現かもしれない。
なぜか、雅の今日のスカートは短いのだ……なんて言い訳はしないぞ、偶然だからな。

俺は懐かしくも、どこか新鮮な感覚に捕らわれた。
幼い頃なら、何度も眺めた光景なのに、今日の俺はやけにドキドキした。




【雅】


「あ〜〜〜〜〜〜〜!」

下で待っている浩君の視線がどうも私の下の方を向いているみたい。
私が目線を合わせると、浩君の目は右の方に泳いだみたいだったし
……もしかして、スカートの中、見えていたりする?

私は慌てて両手でスカートを抑えた。
今日、ミニ履いていたんだ、忘れていた〜…………あーん。やっちゃった。

「いい眺めだな、雅………「きゃっ!」、って……………………いてぇ〜」

次の瞬間、私の体は階段から滑り落ちた。

「え、あっ………だ、大丈夫、浩君!」
「……それより、雅は平気か?」
「う、うん……ありがとう」
「………………」
「………………本当に大丈夫?」
「……大丈夫だと思う……重いからそろそろ起きてくれると嬉しいけど」
「この手……どけてくれないと起きられない……」
「えっ?」


ひょっとして私の胸のところにあるこの手は……浩君の?

「きゃ〜〜〜〜〜〜〜!」

「ば、ばか〜、俺の上であばれるなって〜……痛い、痛い!」
「ご、ごめん……大丈夫……だよね?」(汗)
「大丈夫なものか〜〜〜〜! 
 人の上で暴れる奴があるか〜! ……マジで背中、痛むぞ」



「…………ふ〜」
「浩君……本当にごめんね……」
「まあいいよ、痛いけど感触は良かったし。「この〜!」……痛ぇ〜〜〜」

思わず痛めた背中を叩いちゃった……でも、浩君がいけないのよ!
でも、ベッドに仰向けで横たわっている浩君、ちょっと可愛そうかも……私のせいだよね、これ。

「全く、俺って昔から雅によく叩かれるよな。
 こんなシチュエーションも、何回あったことやら……何か、俺に恨みでもあるのか?」
「恨みなんてないわ……ただ……」
「ただ?」
「浩君が好きなだけよ……って、あっ」
「はぁ〜? 俺が好きだって?」
「ち、ちが…………違わないわ。そう……ずっと好きだったの、浩君のこと」
「だって、お前、西川と付き合っているのだろ?」
「言わないで……本気ではないの。
 それに……もう西川先輩の事は言わないで、お願い」
「別れたのか???」
「浩君! もう言わないでって言ったでしょう!」
「わ、分かったよ。……よく分からないけど」

ごめんね、浩君。……西川先輩との事、浩君にはとても言えないの。
でも、浩君、穏やかだけど顔つきが違っている。

「本気なのか、俺への気持ち?」
「うん……」
「親友の間柄ではダメなのか?
 俺はずっとそう思いたいのだけど……それに、それが雅の悩んでいたことか?」
「………………」

半分当たっている……こういうところだけは勘が良いのね。
いつも私が悩んでいると、隠そうとしても表情で見抜いてしまう……いつだって。
もう隠せないかも……正直に言おう、それしかないかも。

「黙っていてもわからないぞ?」
「そうね……黙っていたら分からないわね。
 もっと早く浩君に気持ちを伝えればよかった……たとえ、振られても。
 私、浩君のこと、子供の頃からずっと好きだったの……今も好き」
「そうか……」

浩君はベッドから起きあがって、私の方を真剣に向いている。

「西川先輩の時は、単に恋をしてみたくなっただけ。
 あの時は、浩君が振り向いてくれそうもなかったから……」
「ごめん。俺、秋子しかみてなかったから」
「ううん、いつでも浩君は私に優しかったよ……だから、ずっと好きなんだもん。
 それに、気づいていたの……浩君が秋子を好きだってこと。
 だから、私、怖くて言えなかった……振られたら、一緒にいられなくなるかもしれないって思って」
「振ったからって、友情にヒビがはいるわけでもなかろうに」
「自信ないもん」
「そういうものなのかな、男女の友情って」
「……かもしれないね」

浩君の表情、真剣だけど優しく見える。
いつも私のことを気遣ってくれる、そんなやさしい瞳をしている。
きっと、私、この瞳に弱いのかもね。

いつのまにか、浩君の胸の中に私の頭が吸い込まれている。
泣きそう……

「雅……お前って、いつのまにか、いい香りがするようになっていたんだな。
 俺、雅が成長するのをずっと見ていたけど、気付かなかった」
「そう? この香り、浩君は気に入ってくれる?」
「ああ。そういえば、この前、お前の胸の中で抱かれた時も同じ香りがしたな。
 今、思いだしたよ。……あの時は、随分心が軽くなったかな」
「浩君の胸も広くて、暖かくて、頼りがいがありそう。
 こんなに気持ちがいいなら……私、もっと早く抱かれたかった」
「俺はこれでも雅の事、大切に思っているよ。
 だから、俺の胸の中ぐらい、いつでも貸してやる。
 甘えずに遠慮する方が悪い」

そうね……浩君、幼い頃からずっと変わってない。
幼なじみで大切な友達で……でもね……わがまま言わせてね。

「浩君、私の彼氏になってくれる? ……それで、ずっと一緒にいてくれる?」
「ダメ!」
「えっ……」
「何があったか分からないが、同情で雅とはつき合えない。
 つき合うなら、雅を一人の女の子としてきちんと見たい。
 俺、分かったよ……俺、きっと、雅のこと、知っているようで知らないんだ」

馬鹿……
どうして、そんなに優しいの……私が傷つかないように言ってくれているの?
そんなこと言われたら……言われたら……私、もう気持ちを抑えられなくなるよ。

「……いいわ。
 私を一人の女の子としてきちんと見てくれたら、私とつき合ってくれるのね?
 …………私、これ以上、待つだけの女の子にはなれない。
 私の事、もっとたくさん見て……知って……好きになって……愛して!
 浩君……その瞳でしっかりと私を見て……」

私は浩君の胸から離れて、立ち上がった。
そして、部屋のカーテンを閉じ、部屋の鍵を掛けた。
それから、部屋の中央に立った。

「雅……一体、何をする気だ?」
「私を見てってお願いしたよね? だから、これから浩君に見せてあげる…………」

私はブラウスのボタンに手をかけ、1つ1つはずしていく。

「浩君、眼をそらさないで……私、本気だからね」

スカートのホックをはずし、体に滑らせた。
ブラのフロント・ホックをはずし、肩ひもを肩から下ろした。

「止めろよ、雅。もういい……もういいから」
「ダメ……私だって恥ずかしいの、お願いだから、ちゃんと見てくれる?」

そして、私は何も身にまとわない姿で浩君と向き合った。

「雅……」
「もう、浩君と出会った頃の私ではないの。これが今の私……浩君を好きになった女の子……。
 ……ねぇ〜、浩君。私、綺麗かな?」
「……馬鹿だな……綺麗だよ、十分すぎるぐらい」

カーテンと通過する夕日の光が部屋に差し込んでいた。
浩君の顔がはっきり見える。
きっと私の姿もはっきり見られている。

綺麗といってくれたのが、嬉しかった
一番、言って欲しい人に言って貰えたから。
浩君の両肩を押して、二人してベッドに横たわった。

「ありがとう……でも、ごめんね、しばらくの間だけ……こうしてくれる?」
「雅が好きなだけ抱きしめてあげるよ。
 言っただろう、雅になら、いつだって胸を貸してやるって」
「うん♪」
「……雅もいつもその位素直だったら良かったのに」
「ごめんね」


私の全てをあげてもいい、そう覚悟していたわ。
でも、浩君はただ私をそっと抱きしめてくれただけ。
どうしてだろう…それが、涙が出るほど嬉しかった。


「雅……これから先、俺と付き合ってみるか?」
「…………えっ!?」
「雅のこともっと知ってもいいかな。俺、もっと雅を知ってみたいから」
「……馬鹿。こんな姿で浩君の側にいるのが、私の返事だって分からないの?」
「いや、その……そうか、聞くまでもなかったな……」
「ううん、ちゃんと返事するね。……浩君、大好きよ」

少し上半身をおこして、浩君の顔に近づけた。
目の前に浩君の顔を捉えて……キスした。
こんな姿で抱きしめられていたのに、それでも、胸が高まっていく……

「雅を知るたびに俺はドキドキさせられるのか?」
「そうね。でも、本当は浩君の好みの女の子になりたいかな。
 私もね……浩君のこと、もっとたくさん知りたくなったもの」
「雅……」
「浩君、これから浩って呼んでもいいよね……彼女に、なれたと思っていいのね」

永かった私の想い……やっと心が通じた。

「明日からはちゃんと学校に来いよ。雅がいないと寂しくなるから」
「うん、絶対にいく♪ 私だって……毎日側にいたいもん。
 朝も昼も放課後も、浩がいやだといっても側にいてあげるから、覚悟してね♪
 そうだ、浩のお弁当も作っちゃおうっと♪」
「なんか……特典だらけだな」
「当然。だって、浩は私の彼氏だもん♪」
「フッ……彼氏、か。女の子と付き合うのは雅が初めてだな」

嬉しいな♪
浩の最初の”彼女”だなんて……きゃっ♪

「きっと、楽しいわよ♪ 私、浩の事、だれよりも好き。
 浩君のために綺麗になって、もっと、もっといい女になるから、ずっと見ててね」
「これ以上いい女になったら……今度は据え膳を食べてしまうからな」
「……馬鹿……そんなこと言うなら、また私から誘惑するわよ♪」
「……………」

も〜、いつか本当に誘惑しちゃうから……でも、本当はとても恥ずかしいの……。
あっ! 
……私の今の表情、そんなに真剣に見つめられたら
……私、どうにかなっちゃう。




【ALL】


翌日の朝、通学路。

「おはよう、秋子♪」
「おはよう、雅……えっ? あれ、浩君も一緒?」
「ははは……おはよう、秋子。まあ、こういう結果になっちまったわけで……」
「……………そうなの」
「本当に二人とも……ふふふ、お似合いよ、二人とも。良かったね、雅」

浩の左腕に手を回しながら嬉しそうにしている雅を見て、秋子も微笑んだ。
長いつき合いでありながら、秋子は自分の見たことのない雅の表情に、二人の関係を読みとっていた。









後書き by 作者


作者:「うーん、今回はほとんど雅だけの話になってしまったな」
葵 :「SILVIA様、雅さんって、大胆ではありませんか?」
作者:「ボクの勝手な解釈です。こんな子でもいいのかと」
葵 :「SILVIA様、雅さんは怒らせるとこわいですよ?」
作者:「……それ、本当?」
葵 :「ええ。私もかなり厳しく育てられましたから」
作者:「はは……(汗) でも、葵もかなり大胆だった気もするけどね。
    とても物静かな葵から、とても想像できないぐらいに。
    きっと、葵は雅に似てるのかも」
葵 :「それは……薫様のことが大好きでしたから……あの、その……」(ポッ)
作者:「葵の話の時は、アニメDVDの細かい所も再現してやるよ。
    かなり、萌えるぞ、葵って」(笑)



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