大切なものであればある程、失った時の喪失感も計り知れない。
 









最後の真実
第3章 一番幸せだもの
 
第9話 「失われてゆく中で」
 
シルビア









8月末の三上家には無気力ともいうべき空気が漂っていた。

「えいっ! やぁ〜!……はぁ〜、兄君さま」

春歌は稽古に打ち込んだ、だが、今は守るべき存在も仕える存在もいなかった。
気力なしに放たれた刀筋がむなしく空を斬るだけだった。

鈴凛は養父母であった両親のもとに帰ることにした。

雛子・亞里亞は米国の三上純一郎夫妻のもとに一時的に帰った。
姉妹の中でもとりわけ幼い二人の心が心配になった、両親が手元に呼び寄せたのだ。

衛は運動部の合宿に出かけた。

鞠絵は体調を崩して、以前過ごしていた保養施設に逆戻りした。

花穂・白雪・可憐は、時折孤児院を訪れて、子供達と過ごして寂しさを紛らわした。

あゆと美汐はものみの丘で妖狐達と時を過ごしていた。
四葉はひたすら情報収集に励み、潤達の消息の手がかりを探していた。
千影は占いや魔術に没頭し、兄の消息の手がかりを探した。

妹達の結束は、潤が行方不明になったことから、一気に土台を無くした建物のように崩壊していた。
だが、姉妹達の心は絶望には囚われていなかった。

「兄くんは生きているよ。兄くんの生命の波動を感じるから。
 それに兄くんのそばにとても身近な存在を感じる、多分、咲耶君だとおもう。
 だが、距離が遠いせいか、私の力では場所まで特定できない」

そう、千影は兄が生きていると妹達に断言したのだ。
千影はそれからも必死に兄のことを占い続けた。
四葉は千影をサポートしながら、四葉なりに推理を働かせ続けた。

そんな千影のもとに美汐がやってきた。

「千影ちゃん、相談したいことがあるんです」

「美汐ちゃん?」

「最近、白昼夢みたいなものを見るのです。
 その中では何かメッセージを告げられている、そんな感じがするのです。
 こんな事は今までで初めての事なので、とても不安なのです」

千影は美汐の中で何かが目覚めようとしているのを感じた。
天野家の血筋は神官や巫女を多く輩出する家系、その力が美汐に目覚めたのか、
恐らくそれは兄くんの潤が行方不明になったことと相関があると思ったのだ。

同じ頃、あゆが体調を崩し、次第に体が弱っていった。
医者に診てもらったが、原因不明の病で、処置の施しようがなかった。
千影はこの事も何かの出来事と相関があると考えていた。

千影は自分の母親が言っていたことを思い出していた。

『千影、あなたは独りぼっちではありません。
 これから先、三上家の人間となり、多くの人と出会います。
 その中には、あなたと同じような能力者も存在するでしょう。
 そして、本当に苦しい時こそ、あなたの存在は大切な人達の力となります。
 能力は意味なしに授かるものではありません、必要があるから授かるのです』

千影自身、本当は泣きたい気持ちで一杯であった。
しかし、彼女が泣いてしまっては、姉妹全員の希望が失われる、その思いが千影を支えていた。

(母君……私はもっと自分の力を磨いておけばよかったよ。
 そんな自分が……今、とても悔しい)

千影はロザリアを手にしながら、自らの力不足を嘆いていた。
自分の力が及ばないなら、他者の力にすがってでも手がかりがほしい。
どんな不可思議なことであっても、守りたいもののために手を出したい、それが千影の心境だった。

「美汐君、私を妖狐達に会わせてくれないか?」

「はい?」




---------ハワイ島のある場所でのこと



「ジン、ホテルのお客様にこのジュエリーを届けに行ってくれるかい?
 それで今日の仕事はこれで終わっていいから」

「はいよ、ジェンヌ姉御。じゃ、行ってくるよ」

「あ、待ってジン、私もいくわ。ジェンヌ姉さん、行ってもいい?」

「いいよ、サリアも行っておいで。
 なんなら、仕事が終わったらデートでもしておいで」(笑)

「ジェンヌ姉さんったら……もう、恥ずかしいわ」

「いいじゃないか、二人は夫婦かもしれないんだろ? たまには仲良くね♪」

「夫婦って……(ポッ)」

「ほら、サリア、いくぞ?」

「あ、はい」

ジンとサリアは二人して店を出て行った。

この店はオーダーのジュエリーを作る店で、元デザイナーの日系人・牧原とその妻ジェンヌ夫妻の経営する店だった。
オーダーデザインながらも、2・3日程度で出来て値段もお手頃なので、地元でも隠れた名店として観光客に評判のある店であった。

牧原  :「あれ、ジンとサリアは?」
ジェンヌ:「商品を届けにいったよ。多分、その後はデートだわね?」
牧原  :「え〜、サリアとデザインの打ち合わせをしようと思っていたのに」
ジェンヌ:「サリアと? でも、あの娘、本当にいいセンスしているわね。
      あの若さであれだけの目利きをしているなんて素晴らしいわ。
      本当にいい子と出会えたわ。
      ジンも客受けが良くて、店にいるだけで美人のお客さんが随分ふえたしね」
牧原  :「でも、あの二人、心中しようとしていた可能性があるんだろ?」
ジェンヌ:「そうね、森の滝のそばで二人して倒れていた時にはそう思ったわ。
      何も持っていなかったし、それに、何より本人達の記憶もないからね。
      サリアが左手薬指に結婚指輪をはめていたから、結婚しているのは確か
      だとおもうけどね。まあ、どうみても心中したとしか見えなかったわね」
牧原  :「不思議な二人だよな。あれだけ仲がいいのに、どうして心中なんて……」
ジェンヌ:「いいのよ、過去は。でも、私達はジンとサリアのこと、気に入っているの。あなたもですよね?」
牧原  :「ああ。いつか記憶を取り戻してくれるといいけど」

牧原夫妻が山歩きをしていた時、森の滝の辺りで倒れていた少年・少女を見つけた。
ふたりはやけどや軽傷をおっていたものの、揺り動かすとしばらくして意識を取り戻した。

「君、名前は?」

「…………分からない」
「…………分からないわ」

「分からない?
 ……とにかくその怪我の治療をしないとね。
 ここで応急処置をするから、その後でうちにくるといい」

少年・少女は牧原夫妻の家に保護された。
少年・少女の記憶がないため、夫妻は彼らの所持品に何かヒントがないか探した。
そして、少女の左手薬指にはまっている指輪を見せてもらうと、その裏に刻印があった。

「うーん、筆記体だし、擦れていて大分読み辛いな
 ……なになに、”200x年y月z日 Jine & Saliya (C)Salon Ahiho”
 ふーん、じゃあ、君たちはジンとサリアという名前かもしれないね。
 とりあえず、これから君たちをそう呼ばせてもらうことにするよ」

残念ながら、その読みは正しくなかった。
しかし、この時牧原夫妻は誤読したことには気が付かなかった。
ただ、仮の名前を付けるには、これで十分だったようで、牧原夫妻はこれで良いと考えた。

「君達は若いけど、多分、夫婦だったのかもしれないね。雰囲気もそんな感じがする」

少年と少女は妙に寄り添っていた。
最初は何かに怯えるような感じがあったが、ようやく牧原夫妻には慣れたのだろうか、
言葉数も少しずつ増えていった。

「でも、弱ったな……記憶がないし、これしか手がかりが無いのでは。
 とりあえず、ここにしばらく住んで、その間に身元を探すことにしよう。
そのかわり、店の方が忙しいから、少し手伝ってくれるとうれしいけどね」

「「……はい」」

「じゃ、決まりだ。そうだな〜、何を手伝ってもらおうかな?」

牧原夫妻はジンとサリアに店頭の店子やデザイン製作の手伝いをしてもらった。
ジンはわりと客の受けがよかったので店子に、サリアは手先が器用でデザインセンスがよさそうだったので牧原の製作のアシスタントをすることになった。
こうして、奇妙な出会いながらも、牧原夫妻とジン・サリアの二人は一緒に働くことになった。


ジンはホテルに着くと、予約者Sayuri Kurataの部屋である102号室を尋ねた。
サリアはホテルのロビーでジンの仕事が終わるのを待っていた。

「こんにちは。『ジュエリー牧原』の者です。
 注文をいただきましたネックレス、お届けにあがりました」

「ご苦労様です。……・あれ、北川君? こんなところで何をしているのですか?」

「北川、誰ですか、それ? 私はジンといいますけど」

「そ、そう。人違いだったのですね、ごめんなさい」

「ご注文の品はこれで間違いはありませんか?」

「はい。わざわざ届けてくださってありがとうございました」

「それでは失礼します」

ジンは踵を返すと、急いでロビーの方へ引き返した。



(人違いよね……でも、すごく気になりますね。
 北川君、確か、行方不明だったはず)

明日、店にもう一度行って確かめてみよう、倉田佐祐理はそう思った。
そう、この時、佐祐理はバカンスでハワイに来ていたのだ。
腕のいいジュエリー・ショップがあるとの噂を聞いて、牧原夫妻の店にオーダーしたのだ。



「サリア、待ったか?」

「ううん。
 ジンがいつ来るかって思って待っていたら、時間があっという間に過ぎちゃって」

「せっかくだし、デートでもしないか?」

「うん。牧原さんが特別に小遣いくれたの。それで買い物とかしない?」

「いいね。じゃ、行こうか」

ジンとサリアは腕を組みながら、町中を歩いた。
牧原夫妻に夫婦かと言われたこともあったが、二人は互いに運命の出会いのように惹かれているかのような気持ちだった。
記憶はない、だが、何か本能が互いを求め会う、そんな感じの二人だった。
それに、記憶がないせいか妙に人見知りするのだが、二人の間では互いにそれを感じないで済む雰囲気があった。

買い物を済ませた二人は、海辺に行った。
浜辺に寄り添って腰かけた二人は、ちょうど日が沈みかかって赤く染まる大洋を見つめていた。


「ね〜、ジン。ずっと私の側に居てくれる?」

「サリア、どうした? 急にそんなことを言って」

「私達、これからどうなるのか、とても不安になったの」

「記憶がないのが不安なのか? 分からないことばかりだし」

サリアはジンの手を取り、胸に抱いた。

「でもね、私には記憶はないけど、あなたとこうして触れていると、とても暖かい気持ちになれるの。
 昔、ジンはきっと私の運命の人だったのかもしれないわね。
 運命のような出会いをして、恋に落ちて、結ばれて……この指輪を見る時、私、いつもそう想うのよ」

「サリアもか……俺もサリアに触れると懐かしさみたいなものがこみ上げてくる。
 まるで、昔、いつもこうして触れていたような、そんな気分になるよ」

「ジン、私、これからずっと貴方の側にいたいの。
 ……たとえ、記憶が戻っても戻らなくても。
 ダメかな?」

「サリアの口から言うまでもない、俺もそうしたいんだから。
 サリア、これからずっと一緒にいような」

「うん♪」

海辺の夕焼けの光が二人の顔をオレンジ色に染める。
しかし、ふと見つめ合った二人の表情は夕日の色以上に赤かった。
二人とも照れているので、相手にはそれが気付かれてしまう。
相手の表情を見つめていたいから、恥ずかしくても目を背けられない。

「サリア、キスしていいか?」

「……そんなこと、聞かないで……」

どちらからというわけでもなく、二人の唇が重なっていた。
自然と体が横に倒れ込み、ジンとサリアの体が触れ合った。

その夜……

二人は夫婦だろうと思った牧原夫妻は、二人の住処に一室を貸し与えていた。
二人の目の前には2つの簡易ベッドがあった。

ジンもサリアもいつもと違ってなかなか寝ようとしなかった。
いつのまにか、二人は互いの寝ている方を向き合っていた。

「ジン、そっちのベッドに一緒に寝ていい?」

そう言いきらないうちに、サリアはジンのベッドに滑り込むように入った。
サリアの行動を拒否しない、それがジンの返事だった。
抱き合うまでもなくただ互いの体温を感じられるようにふれあっていたい、
いつしか二人の間には自然とその合意が形成されていた。

「サリア……」

「ジン、ごめんね。やっぱり、私、まだ怖い」

「サリアが側にいるだけで十分に心地いいよ、俺は」

「ありがとう、ジン。……とても暖かいわ、ジンの側にいると……」

サリアはジンの唇に自分のそれを重ねた。
そして、ジンの手をとり、そっと胸に抱きながら目を閉じた。
サリアの寝顔を愛おしく思いながら、やがてジンも目を閉じた。


そして夜が明けて……




「あの〜、すいません」

「いらっしゃいませ。あ〜、この前、オーダーされた確か……倉田様ですね?」

「はい。でも、今日はその件ではなくて、伺いたいことがあって来ました」

「はい、何でしょうか?」

「この前、私に商品を届けてくれた男性のことを聞きたくて来ました」

「あら、ジンのファンなのですか? もてますね、彼ったら」

「あ、そうです、たしかジンと名乗っていました」

「そう……じゃ〜、すぐに呼んでくるわね。ジン〜!」

「何でしょうか、ジェンヌ姉さん?」

「この人がジンに用事があるって尋ねてきたよ」

「あ〜、昨日、ネックレスを届けた方ですね?」

「はい。私、倉田佐祐理といいます」

「倉田佐祐理さん?」

「佐祐理の事、覚えていませんか?」

「いいえ」

「そうですか……」



「ジン、何かあったの?」

「あ、サリア。よくわからないけど、この人を俺がしらないかって聞かれてね」

「えっ、咲耶さん!」

「咲耶さん? 私はサリアといいますけど?」

「いいえ、間違いないです。
 髪型が違っていて顔も少し焼けていますけど、あなたは間違いなく咲耶さんです。
 それと……よろしければ、その指輪、少し見せていただけますか?」

佐祐理はサリアの付けていた指輪に目がとまった。
それは、倉田家の結婚式に出席した時に、咲耶さんが付けていて佐祐理が不思議に思って何故付けているのか尋ねたことがあったからだ。
『もちろん、本物の結婚指輪ではないわ。
 でも、お兄様と私の愛の絆の証なの。今は兄妹、でも、いつかは……うふっ♪』
とにこやかに応えた咲耶の表情がとても愛らしかったのを佐祐理は覚えていた。



「え、ええ、構いませんけど……はい、どうぞ」

「ありがとうございます。
 ”200x年y月z日 Jun & Sakuya (C)Salon Akiko”
 潤と咲耶、それにSalon Akikoといえば北の街の『サロン・AKIKO』。
 ……すいません、ちょっと確認のために時間をくれませんか」

「あ、その指輪は私の宝物なので……」

「あ、すいません。指輪はお返しします。
 明日、またこちらに伺いますね。では、今日はこれで失礼します」

佐祐理は急いでホテルに戻ると、水瀬家に電話を入れた。

『はい、水瀬です。名雪ですけど』

「もしもし、倉田佐祐理です。
 秋子さんはいらっしゃいますか?
 至急、秋子さんに連絡をとりたいのですが、」

『佐祐理さん? お母さんなら、今、家にいるよ〜。替わるね』

「はい。お願いします」

『お電話替わりました。秋子です』

「佐祐理です、こんにちは……あ、日本では今は今晩はですね。
 お聞きしたいのですが、 ”200x年y月z日 Jun & Sakuya (C)Salon Akiko”と
 裏に刻印した指輪のことをご存じありませんか?」

『それでしたら、モデルをして頂いている三上咲耶さんに私がお作りしたものですけど、
 それがどうかしましたか?』

「やはり、そうでしたか。実は---------------」

『そんなことがあったのですか。
 ですけど、その指輪、確かに量産していますが、その刻印は2つとないオリジナルです。
 それと、私が二人に手がけた指輪の刻印だったと思います。
 このペアの指輪は本人達だけが持っているはずです』

「そうですか。ありがとうございました」

佐祐理は電話を切ると、三上家に連絡を入れた。
こう見えて番号の覚えのいい佐祐理は、北川達のいる三上家の番号を覚えていた。

『はい、三上です』

「こんばんは。倉田佐祐理です。妹達のどなたかをお願いしたいのですけど」

『私は妹の四葉です。佐祐理さん、どうかしましたデスか?
 なんか焦っていますデスよ〜』

「実はね------------というわけなのです。多分、潤君と咲耶さんだと思うのよ」

『兄チャマが! 咲耶姉チャマも? 大変です〜、これは重大事件発生デスぅ〜』

「とにかく、急いでハワイに来てくれませんか? 妹達にも確認して欲しいので」

『分かりましたデスぅ。名探偵・四葉、さっそく現場に飛ぶデスよ〜♪
 兄チャマかどうか、しっかり見極めるデス♪
 佐祐理チャマ、貴重な情報、ありがとうデスよぅ♪
 早速 チェキです〜♪』

電話は勝手に切れた。
佐祐理は電話をきると唖然とした表情を浮かべた。
わかっているのだかわかっていないのか……四葉の雰囲気の前には、佐祐理はすっかり形無しだった。
とにかく、これで、佐祐理にできることはした、佐祐理はそう思った。

しかし、
三上家の妹達に活気が戻った……となるほど、現実は甘くなかった。


そして、ジンとサリア、そして三上家の妹達の夜が過ぎようとしていた。
-------それぞれが想いを抱きながら。


「ジン……今晩も一緒に寝ていい? ……寝付けないの」

サリアは自分のベッドから起きあがって、ジンのベッドに潜り込んだ。

「不安なのかい、自分の過去が?」

「ええ、過去を知ったら、今のままでいられなくなるような気がするの。
 貴方が離れて行ってしまいそうな、そんな予感が」

「サリア……どんな過去があっても、俺はお前のことを見放すことはしないよ。
 だって、俺はお前の事を誰よりも愛しているから」

「ジン……私……私もジンのこと、誰よりも愛しているわ。
 だから……離れないで、ずっと側にいて……」

サリアはジンの胸に顔を埋めた。
暖かい、だけど、か弱く小さな存在、ジンはサリアを抱きしめながら、自らの不安をもかき消そうと努力した。
昼間の女性、倉田佐祐理、彼女は間違いなくジンとサリアの過去を知っている
……ジンは自分の知らない過去になにがあったのか、その結末を知ることを恐れていた。
だが、目の前にいる一人の女性、その女性を前にして、不安な表情を浮かべることはできない。
自分にできること、この女性のためにどんな事実でも受け止める勇気をもつこと、そして彼女の心を守ること、ジンはそう思っていた。



「うーん、兄チャマ……チェキ〜です〜」
「お兄ちゃん、可憐はお兄ちゃんだけ無事なら、どんな運命でも……」
「兄君さま、ワタクシ、兄君さまがいらっしゃらないと……
 弱い心のワタクシでしかいられません。どうか、ご無事で……」
「お兄ちゃま、花穂、いまはお兄ちゃんの無事を祈って明るく元気に過ごすから。
 だから……帰ってきて、お兄ちゃま」
「亞里亞〜、独りぼっち……グスン」
「おにいたま、おにいたまがいないと、ヒナ、元気が出ないんだよ〜。だから……」
「兄上様、一緒にお出かけするって約束したじゃありませんか……どうかご無事で」
「あにぃ……ボク、あにぃとまた一緒にスポーツできる、そんな気がするんだ」
「アニキ……研究資金、早く援助してほしいな。じゃないと、メカ鈴凛、完成しないんだからね……」


四葉から佐祐理の話を聞いた千影は、自室でタロットカードと水晶を前にしながら、占っていた。

「ラケシスもなんと残酷なことを……
 兄くん……こんな運命でも、兄くんは受け容れるのかい?
 でも、兄くんに何が起ころうとも……私はついていくよ。
 それが二人の運命だから」

そして、旅行鞄に荷物を詰めてハワイへ飛び立つ準備をした。
犠牲、その上に成り立つ兄の運命……それを千影は感じ取ったからだ。










後書き by 作者


四葉:「SILVIA兄チャマ、これでは四葉はひょうきん者ではないデスか〜!」
作者:「ははは……シリアスに行こうと思ったが……つい」
千影:「フッ……SILVIA兄くん、スペルの読み違いを使おうなんて、姑息だね。
    それに、結婚指輪? 夫婦? ……一体、どこからその発想がくるのだか」
美汐:「SILVIA兄様にお仕置きが必要なようですね」
佐祐理:「どうして私がこんな役回りなのでしょうね……SILVIAさん♪」
作者:「えっと……逃げる。(サササ)」
千影:「ムダだよ、SILVIA兄くん、所詮、人は運命からは逃げられないからね」
作者:「千影、そう言って麻痺の呪文をかけるな〜! ……って、あら……(汗)」

ボカッ・ストン・ズドン……「うぎゃー!」


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