最後の真実
第2章 お兄ちゃんと一緒の時
 
第8話 「文」 〜春歌編〜
5月16日 春歌の誕生日SS
 
シルビア








----4月

「潤様、お荷物が届いております」

「ありがとう、水田さん。えーと……」

三上家の援助している孤児院の院長から潤宛に1個の小包が贈られてきた。
同封されていた手紙には、院長の筆で次のことが書かれていた。


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三上 潤様

久しくご無沙汰しています。
白雪ちゃん達は元気でしょうか?

先日、西の街にある当方の系列の孤児院より、同梱しました荷物が送られてきました。
この荷物は、かつて、ドイツにある三上の支援していた孤児院が閉鎖になった時に、
整理のため、日本の孤児院に孤児共々受け容れた時の荷物だそうです。

荷物の内容を確認しました所、春歌ちゃんの喪失物と推察されます。
そして、以前に伺った話より、春歌ちゃんは現在は三上家にいることを思い立ち、
こうして荷物を送らせていただきました。

この荷物は春歌ちゃんがドイツの孤児院にいた頃の本人の日記帳と思われます。
大切な思い出の品だと思いますので、本人に内容をご確認の上、春歌ちゃんの
持ち物でしたらご本人に渡して頂けないでしょうか。

今後ともよろしくお願いします。

                       華音孤児院長   斉藤光子

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「水田さん、春歌ちゃんは今どこにいるのかな?」

「確か和室で茶道のけいこをされているかと思いますが、お呼びしましょうか?」

「お願いします」

「畏まりました。しばしお待ちを」


しばらくすると、春歌が潤の部屋にやってきた。

「兄君さま、ワタクシに何かご用でしょうか?」

「春歌ちゃん、ちょっとこの日記帳を見て欲しいんだが?
 これは春歌の日記帳ではないのかい?」

「あ……はい、これは亡くしてしたワタクシの日記帳ですね。
 それも、私がドイツにいた頃のものです。
 ……あらあら、わ〜、懐かしいですわ♪」

「良かったな。それは春歌が持っているべきものだから、持っていきなよ。
 でも、思えば、俺と出会う前の春歌ちゃんの事って、俺はあまり知らないな。
 再会する前も2年前に1度会ったきりだしね」

「兄君さま? ワタクシと最初に会った時の事、覚えてらっしゃいますか?」

「ああ、覚えてるよ。
 スリに荷物を持って良かれそうになった所に、長刀を持った春歌が現れたんだよな。 それにこの前に再会したときも不良から助けて貰ったし。
 そういや、あれからいつも春歌ちゃんに助けて貰ってばかりだよね。
 ありがとう、春歌ちゃん」

「そんな、ワタクシが兄君さまをお守りするのは当然のことですわ♪」(ポッ)

「それにしても、いつから武芸を始めたの?」

「ドイツにいた頃、養父母から教わったので、ワタクシが4才ぐらいの頃からですね。
 養父母はその道の達人で、ドイツで武芸を教えていたんです。
 ワタクシは養父から武道、養母から作法などを教わりました」

「なるほどね。でも、いつドイツから戻ったんだい?」

「ワタクシが10才の時、養父母が事故で亡くなりました。
 再び孤児となったワタクシはドイツの教会に付属する孤児院で過ごしましたが、その孤児院も潰れてしまい、日本に戻って東の街の孤児院に移りました。
 11才の時、三上家の養女となって、それから兄君さまに最初にお会いしました。
 その後は、兄君さまもご存じかと」

「春歌ちゃんて、本当にいろんな事を経験したんだね」

「そうですね。ですが、私は寂しくありませんでした。
 武芸に打ち込めましたし、兄君さまの存在を知ってからはずっと兄君さまをお慕いできましたので♪
 今も兄君さまの側でお仕えできて、ワタクシ、とても幸せですわ。ポッ」

「仕えるだなんて、照れるよ。
 でも、俺も春歌ちゃんのおかげで楽しく暮らせてるよ」

「そんな……嬉しいお言葉を♪ ポッ」




----5月16日




「春歌ちゃん、誕生日おめでとう。これ、俺からのプレゼントなんだ。
 受け取ってくれるかい?」

「兄君さま♪ 兄君さまが選んで頂いたものなら、ワタクシは何でも嬉しいです。早速、開けて見てよろしいですか?」

「もちろん」

「日記帳ですか? ……えっと、"春歌と潤の兄妹日記"?」

「ああ、俺も春歌ちゃんも昔はいろいろあったけど、互いに知らないことって多かったんだな〜って思ってね。会話やメールだとちょっと恥ずかしいから、日記ならと思ってね」

「兄君さま、会って面と向かっては言いないことでも文(手紙)なら気持ちを伝えられる、そういうお話が古文にあるんです。
 私と兄君さまと二人っきりで気持ちを伝え合えるだなんて、想像したたけで、ワタクシ、とても嬉しいです。ポッ」

「な〜、春歌ちゃん、一応、他の妹にはこの交換日記の事は内緒にしてくれな?
 さすがに14人の妹全員とは日記の交換はできないから」

「はい♪」

「一応、最初の頁に、今日の日付で、俺の日記を書いておいたから。
 後で読んでくれないか?」

「はい、兄君さま♪ それでは、明日は私が書きますね」


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5月16日 晴れ  by 潤


5月16日、誕生日おめでとう、春歌ちゃん。

薙刀、弓道といった武道、茶道や舞踊の芸達者で、それでいて俺のことをいつでも
影で見守ってくれる心優しい女の子……それが妹の春歌ちゃん。

妹一人一人にもそれぞれいろんな表情と思いがあるってことを、俺は春歌ちゃんと
一緒にいることを通じて教えてもらったような気がする。

勉強ぐらいしか取り柄がない俺だから、春歌ちゃんを含む妹達全員の想いにどれだけ
応えられるのかはよくわからない。

だけど、俺は今幸せなんだな〜、と最近思う。
すこしずつだけど、妹達の事が好きになって、みんなとの距離が近づいているように思うんだ。
気のせいかもしれないけど。

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5月17日 曇りのち晴れ  by 春歌


兄君さまはとっても素敵ですわ。
そんなに謙遜なさらなくてもよろしいのですよ。

何よりも、優しい男性、春歌にはそう思えるのです。
側でお仕えしていると、兄君さまが喜ぶ時は、私も嬉しく感じております。

兄君さまが幸せだと感じてくれるのが、春歌の幸せなのです。
兄君さまのお側にお仕えできて、ワタクシ、とても幸せです。(はあと)

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(春歌ちゃんて字も綺麗だったんだな、初めて知ったよ)


潤は返された交換日記を読みながら、今日は何を書こうかなと思案していた。
まあ、その口元は、なにげに微笑んでいたのだが。




後書き by 作者


可憐:「SILVIAお兄ちゃん、可憐もお兄ちゃんと交換日記したいです」
作者:「(ドキッ)そう言われても……潤の奴が何て言うか……」

咲耶:「SILVIAお兄様は、もちろん私と交換日記してくれますよね?」
作者:「もちろん。うーん、交換日記か〜……高校生の時に憧れたな〜」

四葉:「SILVIA兄チャマ 、チェキです〜!
    兄チャマ情報#0223 SILVIA兄チャマは、交換日記をしたがる……と」
作者:「こら、四葉、いつからそこにいた?」
四葉:「この四葉に不可能は無いのデス!
    SILVIA兄チャマ の事なら何でも知ってるデスよ」
作者:「頼むから、俺の秘密をあまりチェキしないでくれ」
四葉:「SILVIA兄チャマが最近構ってくれないからデス。四葉は一人寂しく……」
作者:「うん? 四葉、どこに行った?」



怪盗クローバー:
   「おー、SILVIAさんデスね〜。わたし〜は〜、美少女怪盗・クローバーで〜す。
    SILVIAさん、最近、四葉ちゃんを大事にしてませんね。
    だから、わたしが〜四葉ちゃんをさらって可愛がったデス。
    さあ、四葉をSSにもっと登場させると約束するデス〜。
    さもないと……」
作者:「わ、分かったから、四葉は返してくれ〜。四葉は俺の大事な妹キャラなんだ!」
怪盗クローバー:
   「ならば、"ONE"のゲームにはまってないで、もっとSSを書くのデス〜」
作者:「おい、クローバー? お前、何でそれを知ってる? さてはお前……」
怪盗クローバー:「あはは〜……では、さらばです〜、SILVIAさん」


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