最後の真実
第2章 お兄ちゃんと一緒の時
 
第1話 「デジカメ」 〜四葉編〜
6月21日 四葉の誕生日SS
 
シルビア








-------2月、(四葉が兄チャマに出会う前)



ここは英国、ロンドンのとある街中。



(なんとなく羨ましいデスね。四葉もあんな風にしてほしいデス)



兄らしき一人の少年と、その背中にオンブされている幼い妹らしき少女との仲のいい2人の姿、それを羨望のまなざしで見つめている、長い髪をトップとポニーテールで結んでいる少女がいた。


他人から見れば、この少女はいつも明るく元気があふれているが、実のところ、とても寂しがり屋でもあった。
寒い空の下にもかかわらず、少女が明るい気持ちで過ごせるのは、それは少女にはまだ会ったことのない兄がいる知らせを聞いて心が踊っていたからだ。

今年の春から日本に行き兄と一緒に生活する、少女はそれをとても楽しみにしていた。



少女の名は『四葉』、
シャーロック・ホームズに憧れ、自称名探偵なのであるが、その推理は時に論理的とも飛躍的ともとれるものであった。
名探偵だか迷探偵だかは判断に苦しむのでさておくが、面白い事に、この少女の日本語には「です」と「デス」のニュアンスの違いがあるということだ。

どうも、本人の願望や企み事があると「デス」が使われるらしい。
その他にも英語でcheckやinspectの意味で使われる「チェキ」なる謎のトレード・マークともいうべき単語を使う。


(兄チャマは一体どんな人デスかね?
 でも、名探偵・四葉のカンペキ秘密調査で、これからはしっかりと兄チャマのハートをチェキ〜・チェキ〜・チェキ〜するデスよ!!)





-------4月〜6月




四葉の兄チャマ物語はその年の春に始まった。



日本にやってきた四葉は三上家をチェキすることから始まった。
兄の住まい、友人関係、恋人の有無……四葉の兄チャマ情報は瞬く間に増殖した。

とりわけ、その「チェキ」の対象は自分の兄に対しては特別強力に向けられる、これがこの少女の可愛らしさともいるのかもしれない。
得意満面の笑顔でチョキのポーズを取られ、さすがの潤でさえ、自分の秘密がばれても仕方がないか〜という心境にさせてしまう。

……四葉の本心では、兄に自分のことを一番チェキして欲しいのかもしれないが。




ある日、四葉はいつも通り、兄チャマをチェキしていた。



「今日も兄チャマをチェキーーーーッッ!!

 やったデス♪ 兄チャマがベッドの下に隠した本、早速チェキしたデス。

 昨日の夜、こっそり出かけたからとても怪しいと思っていたデスよ」

「おいおい、四葉ちゃん。お願いだから、そんなとこ、チェキしないでくれ〜」

「だめなのデス。兄チャマの秘密はすべて四葉にチェキされる宿命なのデス」


四葉はチェキしたエロ本を覗きこんで、顔を真っ赤にした。

……(こんな本・・見なければよかったデスね)



「だからって、本の中身まで隈なく見ないでくれ〜」

「ふふふ、兄チャマ……この本、咲耶姉チャマが見たら何というデスかね?」

「四葉ちゃん、何が欲しいんだ?」

潤は四葉の要求が、どこか脅迫めいているように思えたが、さすがにエロ本を持っているところの現場を押さえられたのでは大人しく従うしかない。


「デジカメに使う128MBのSDカードが欲しいデスね!」

「分かった……じゃ、買ってやろう。ただし、誕生日プレゼントとしてな?」

「あ、そういえば、四葉ちゃんの誕生日、今月の21日だったデス」

「四葉ちゃん、自分のこともちゃんとチェキしておけよ」

「わかったデス」








--------6月21日









「四葉ちゃん、誕生日おめでとう。これ、誕生日プレゼント」

「嬉しいデス♪ 早速開けるデス。
 ……わー♪ SDカードデスね。
 これで、兄チャマをもっとチェキできるデス」


「な〜、何で、四葉ちゃんはそんなに俺をチェキしたがるのだ?」

「……四葉、今までずっと、兄チャマに会えなかったから。
 もっと兄チャマを知りたいのデス。それに……」

「それに?」

「四葉、兄チャマにしてほしいことがあるデスよ。実は--------なのデス」

「ふーむ、まあいいか。今日は誕生日だし、特別にその願いを叶えてやる。
 だけど、当分の間、他の妹には内緒にしてくれな?」

「嬉しいデス♪ 四葉のマル秘メモにも、こっそりしまうデス。それじゃ、早速……」

「ああ、出かけようか、四葉ちゃん」


その夜、四葉はいつもよりも早く眠りについた。
いつになくはしゃぎすぎた、ただ、その理由だけなのだが。
それは、四葉の部屋の机の上にある物をプレゼントされたからでもあった。


机の上のコルク・ボードには3枚のデジタル写真のプリントがピンで留められていた。



 教会の前で、四葉をお姫様抱っこする兄チャマの姿の写真、
 森の小道で、兄チャマにオンブされている四葉の姿の写真、
 ものみの丘で、座る兄チャマの腕の中にいる四葉の姿の写真

加えて、四葉のマル秘メモには、もう1カットの写真がこっそり忍ばせてあった。

 潤が自宅に電話をかけている時、潤の頬にキスしている四葉の姿を写した写真


デジカメのメモリーに記録されているものは、それは四葉がずっと求めていた気持ちの表れ

------それは、四葉が永く憧れた兄妹の温もりと、それとちょっとだけ恋人♪になること。




後書き by 作者


四葉:「SILVIA兄チャマ、このSSのテーマについて話してほしいデス」

作者:「おっと、忘れていた。
    一応、四葉はボクもお気に入りキャラの一人なんだよ。
    設定上、兄に出会う前はイギリスに住んでいるとのこと、昔の四葉の気持ちをちょっと出してみた。
    普段は元気で明るいけど、本当の四葉って寂しがり屋なのかな〜という
    印象を持っている。だから、そのあたりをSSに書こうと決めていた」

四葉:「でも……SILVIA兄チャマ、四葉の秘密を勝手にチェキしたらダメデス。
    兄チャマの前では、四葉は元気一杯娘なのです」

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