最後の真実
第1章 お兄ちゃん、会いたい!
 
第4話 「3番目の出会い」
 
シルビア








--------------4月8日

俺は東の街の友人、相沢にメールした。

「相沢、元気か?

 こっちの街は慣れてはきたが、俺の妹がどんどん増えてとまどってばかりだ。

 愛嬌のいい可憐、魅惑的な咲耶、メカ好き少女の鈴凛、家政婦の白雪と、まあ
 楽しいことに事欠かない妹達のおかげで、なんか俺の周りは急に明るくなったよ。
 
 女の子に慣れている相沢にこんな事言うと笑われるだろうが……
 
 可憐がな、俺は銀縁眼鏡をかけない方が似合うって言うんだ。
俺は妹達は格好いいお兄ちゃんが好みと、俺の眼鏡は普段はつけないように言われた。
仕方なくコンタクトにしたんだが、周りの視線が熱くなって、どうも照れくさい。
 なにせ、俺は相沢と違って、女の子とはほとんど話しもしたことなかったろ?
 そんな俺に咲耶はだきついて、私の唇に触れたくない? なんていうんだから、
俺のハートはどきんどきんだよ。

東の街にいた時は俺も勉強一筋だったけど、俺も女の子と恋愛ができるのかな〜と
ちょっと期待してるんだ。
 だから、妹に、お洒落でも教わるとでもするかな。

 それにな、今日、更に3人の妹が現れるって 執事の水田が言うんだ。
更に3人だぜ?
俺、一体どうなるんだろうな。
 だけど、ちょっとだけ楽しみにしているんだ。こんな俺、変か?

 じゃ、またな」


俺はメールと朝食を済ませると、高校の制服に着替えて、家の玄関を出た。

玄関を出ると、そこに6人の少女達が待っていた。

「それじゃ、行こうか」

「「「「「「「はい」」」」」」


俺の通う高校は幼稚園から大学まである超マンモス学園だった。
俺が高校1年生。
俺と可憐ちゃん・咲耶ちゃんが高校1年、あゆと美汐ちゃんが中学3年、鈴凛ちゃんと白雪ちゃんが中学1年だ。

「いつもながら、この人数で一緒に学校にいくのもすごいな。大名行列並だ」

こうして妹達と一緒に通うのもやっと慣れた。
だいたい、入学式そうそう、6人もの妹と歩く新入生など、俺ぐらいだからな。

今の俺達、それはよく考えれば凄い光景なのだ。
男の俺1人に6人の妹たち、端からみればよだれのたれそうな光景だろう。
妹達は可愛いとか綺麗とかの形容詞が十分に似合う美少女達であった。
……一部、子供っぽい妹もいたが、それが誰かは言わないことにしてと。

「うぐぅ、子供っぽいって誰のこと?」

本人は自覚があってか、気にしているらしい。
ま、6年近く寝ていたわけだから、無理もない。

「おはよう、北川君、それに6人の少女達。相変わらず凄い光景だわね」

「おはようございます、皆さん」

俺のクラスメートの美坂香里とその妹の美坂栞だ。
実は俺は美坂の事がなんとなく気になっているのだが、妹達に時間を割かれて、
あまり恋仲にはなれていない。

「仲がいいのは結構だけど、まるで恋人のようね。それも7つ股かけているみたい」

そう言われた、俺の腕は可憐ちゃんと咲耶ちゃんに抱きつかれている。
俺は入学して以来、美坂のことが気になっていた。
しかし万事がこんな調子だから、俺が美坂に告白するなんて、現実的に無理なのだ。
さらには……

「えぅー、7つ股かけるなんて、そんな人嫌いです!
 でも、妹を大切にしているから特別に許してあげます♪
 ですが、私にもパフェを奢ってくれないとダメです」

こんな調子で、俺は味方にすべき美坂の妹の栞にすっかりからかわれている。
泣きたくなる。
妹に囲まれるのは罪か?
俺は時々、そう考える。

「可憐、お兄ちゃんが望むなら、お嫁さんになっても……」(ポッ)

「お兄様が望むなら、キスの一つや二つ、いつでもOKよ」(ポッ)

何故俺は妹に嫉妬や誘惑をされなければならないのか、それは多少疑問である。

「お前等な〜」

「北川君はもう予約済みってところね」

「北川さんには、"優しいお兄様"がよく似合ってますからね」

それに、咲耶ちゃん、なにげに俺の首もとに両手を回すんじゃない。
それに、美坂の前でそんなこと言わないでくれ〜。

「あ〜、咲耶ちゃん、ずるいよ。潤兄ちゃんはあゆのだよ」

「咲耶姉ちゃん、姫のにいさまに、そんなことしてはいけないですの。
 それは姫だけがするんですの」

「潤兄様、不潔です。人としてとても不出来です」

「アニキ、それはさすがにまずくない?
 でも千円くれたら特別に見逃してあげてもいいな」

は〜……・俺のこれからの恋愛はどうなるんだろう。
ただでなくとも、早々にシスコンと噂されて大変なのに。

「あら、シスコンに恋人ができるのか、うーん、心配ね」

「どうして分かるんだ、美坂?」

「北川君、はっきり声にでてるもの」

「お兄様が望むなら、私がいつでも彼女になってあげるわ♪毎日デートでもOKよ」(ポッ)

「咲耶ちゃん、俺をからかうなよ!」

「…………」(いじいじ)

「あの〜、お兄ちゃん、放課後、可憐と夕食の買い物にいってくれますか?」

「いいよ、可憐ちゃん。じゃ、放課後な」



……・放課後



授業が終わると、俺は可憐ちゃんと一緒に教室を出た。

「可憐ちゃん、ちょっと校門で待っていてくれないか。石橋に呼ばれてるんだ、すぐに行くから」

「はい、お兄ちゃん」

俺は職員室の方に向かった。


「お兄ちゃん、頑張って〜!」


昇降口の付近を歩いていると、俺は、そばの中庭から子供っぽく明るい声が聞こえた。

(うん?……まあ、人違いだろう)

俺はどうも"お兄ちゃん"という単語に敏感になりすぎているようだな。

俺は声を無視して、先を急いだ。
それから、石橋の用事をかたづけて、俺は可憐ちゃんの待っている校門に向かった。


その時、俺は背中越しに少女の声を聞いた気がした。

「兄くん、今日は女難の相が出ているよ。気を付けた方がいい」

しかし、俺が振り返ると、少女は既にその場から立ち去っていた。

(なんだったんだろう?)

俺はそのまま校門に向かった。

「可憐ちゃん、お待たせ。悪い、遅くなった」

「お兄ちゃん、30分も待たせるなんて酷いです。
 可憐、すっかり待ちぼうけです。罰として、あとで何か奢ってくださいね」

可憐ちゃんの口調はきつめだったが、顔は笑ったままだった。
可憐ちゃんはなにげに嬉しそうな顔を浮かべている。

夕食の買い物をすませると、喫茶店に立ち寄った。
店の外にあるテーブルで、俺は可憐ちゃんとふたりで甘いモノを食べていた。

「お兄ちゃん、とても美味しいです♪」

「そりゃ、美味しいだろうな……驕りだし」

「ごめんなさい…………お兄ちゃん、こんな可憐は嫌いですよね…………」

可憐ちゃんがなにげに涙をうかべたような上目使いをした。
こら、可憐ちゃん……そんな色めいた仕草は覚えなくてもいい。

「そんなことないぞ。
 可憐ちゃんのような可愛い女の子と一緒に何かを食べるなんて、俺は今までしたことないからな。ちょっとどきどきする。(照)
 ……って……さて、そろそろ行くか……ってあれ、俺の鞄は?」

「あ〜、可憐の鞄もありません」

「置き忘れてはいないよな……ひょっとして盗まれたか?」



「事件です!
 ここは、この名探偵・四葉にお任せするのです。
 ……・分かりました、犯人は……あそこで逃げている男です。
 この四葉の目はごまかせませんよ。
 さあ、"兄チャマ"、早くあの男の後を追いかけるデスよ!」



俺の背後のから、真剣そうな、でも幼げな声が聞こえた。
俺は一瞬、何があったんだか、よく分からなくなった。

「お兄ちゃん!」

「ああ、そうだな……って"兄チャマ"? それに、君は誰だい?」

「話は後です。犯人が逃げてしまうのです。すぐに、追いかけるないと」

俺はとりあえず、犯人らしき男を追った。
その男は狭い路地裏の方へと走り込んだ。


……ドン


路地裏に入ってすぐに、俺は何かにぶつかった。

「アンチャン、俺たちになにか用があるのかい? お〜、肩が……肩が……」

「アンチャン、アニキの肩に怪我させて、タダですむとはおもってないな?」

ふたりの男が俺の目の前にいた。
そして、その背後には、俺達の追っていた男がにやついている。

「あの〜、その〜」

2人の容貌はあきらかに不良のそれというものだった。

「お、そこの女、いい女じゃないか。それじゃ、この女に免じて勘弁してやろうか」

男は可憐ちゃんに色目を使って、手を伸ばしてくる。

「お兄ちゃん〜〜〜〜怖いよ」

可憐は俺の背後に回り込むように逃げ込んだ。

「兄チャマ、これは四葉の一世一代のピンチなのです」

四葉という少女もまた、俺の背後に逃げ込んだ。

ふたりの女の子に頼られるなんて、なんかハッピーな気はするものの……
俺は腕っぷしの方は自信がない……

「可憐ちゃん、大丈夫だ、ここにじっとしてろ。
 ……この野郎〜〜〜、何考えてやがんだ〜!
 妹に手を出すと承知しないぞ〜」

俺は意を決して相手の男に飛び込んだ。

「フッ、なめてるのか、こいつ? ひ弱なくせに、女の前だからって、いきがってんじゃないぞ!」
そう言う相手の拳が俺の顔をめがけて、向かってくる。


その瞬間……・


アニキと呼ばれた男はその場に崩れおち、その場所に長い棒を手に持った少女が現れた。
棒を払うように、となりにいた男に向け、鋭い一振りを男の横腹に打ちこんだ。
アニキと呼んでいた男も、その場に腹を抱えて崩れこんだ。



「ワタクシの兄君さまに手を出すとは、いい度胸してますね。
 この男を連れて早々に立ち去らないなら……覚悟して頂きます!」

袴姿の少女が、男達の背後から姿を見せた。
手に持っているのは薙刀とかいうものらしいな。
それに、その姿が妙にはまっているように見える。

「ひ、ひ〜、おみそれしました〜」

崩れていた男は、驚きのあまり少女の視線を見据え、その姿と言葉にすっかりびびった。男は脇腹を抱えながら、アニキと呼んでいた自分の仲間を連れて逃げ去った。


「あ、ありがとう」

「礼を言う必要はございません、
 なにより、ワタクシの兄君さまがご無事でなによりです。
 それに、ワタクシが兄君さまをお守りするのは当然のことですわ」

逃げ去った男達を一笑し、少女は誇らしげに、だが丁寧な口調で言った。


「兄君さま? それにお守りするって何のこと?」

「北川潤様ですね。
 私、兄君さまの妹の春歌と申します。
 2年前に一度、お会いしてますので、お目にかかるのはこれで2回目です」

「兄君さまって……君が水田の言っていた、今日会う予定の妹なのか?」

俺は自分達を助けてくれた少女に訪ねた。

「はい。
 今日は、ワタクシの兄君さまにお会いできると、楽しみにしておりました。
 昨日、ワタクシの生まれ育ったドイツを離れ、この街に越してまいりました。
 それと、あの鞄は兄君さま達の持ち物ですね?」

春歌ちゃんはそういうと、俺と可憐ちゃんの鞄を指差した。
よく見ると、俺たちの鞄を盗んだらしい男が既に道に横たわっていた。
……この強さ、半端じゃないな。

「春歌ちゃんだったね。とにかく、助けてくれてありがとう。
 本音をいうと、喧嘩には自信がないから、どうしようかと思ったよ。
 …………
 うん、まてよ? ということは、君も今日会う予定の妹なのか?」

俺は一緒に走ってきた拡大鏡をもつ少女に向き直り、尋ねた。

「はいデス。
 実は四葉は兄チャマの妹だったんです。
 四葉は昨日、イギリスから帰ってきたんですよ。
 これで晴れて事件も解決しましたし、さあ、"兄チャマ"、一緒に帰りますしょう」

実はも何も、最初から"兄チャマ"っていってた気もするが……まあ、いいか。


……その時

ふと、俺は背後に人の気配を感じた。


「だから言っただろう、兄くん。女難の相が出てるって」

「なるほど、君も俺の妹というわけか」

「ご名答、兄くん。
 私は千影。
 ……これも運命の導いた出会いだね」

1枚のタロットカードを手に持ち、カードにそっとキスをして、俺に差し出した。

「兄くん、これが、女難の相が出ているって教えてくれたカードだよ」


春歌、四葉、千影……これが新たな妹の3人の名前だった。
俺はこのどこかしら底の知れない3人の妹に、翻弄される運命だと千影ちゃんは言っているのだろうか?
よくわからない妹だ、千影ちゃんという子は。


「さて、兄くん、もう一つ伝えておかないといけないことがあるんだが……
 明日、兄くんの前に別の3人の妹が登場する。
 そのうちの一人は、今日、兄くんは会っていたはずだが、気がつかなかったのかな」


(なに〜? 更に3人の妹だ〜?)



……同じ頃、北の街

本を片手に持ち、療養施設の部屋の窓の景色を見ながら、明日を待ちこがれている少女がいた。

(私がもっと元気でしたた、兄様と一緒に学校で過ごせましたのに。
 でも、いよいよ、明日からは……
 楽しみです)


放課後の夕日の差し込む中庭で、青いユニフォーム姿で両手にボンボンをかかえ、仲間としきりに振りの練習している少女がいた。

(お兄ちゃん、頑張って♪
 お兄ちゃんのこと、ずっと応援してるから。
 でも、今日、何で気がついてくれなかったんだろう……
 お兄ちゃん、昔会ったときのこと、忘れちゃったのかな?)


何かを想像している表情をうかべ、スケッチブックに絵を書いている少女がいた。

(おにいたま……これからはおにいたまの絵をいっぱい書くの♪)
 










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後書き by 作者
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……ドスっ、ずたん
四葉:「SILVIA兄チャマの好みの食べ物は、ハンバーグと。 それでパチンコが結構好きと。
    それに、可愛い女の子が大好きと」
作者:「こら、四葉、いきなり何をチェキしてんだ?」
四葉:「咲耶ちゃんからSILVIA兄チャマの事調べてきてくれと頼まれたデス」
作者:「俺を買収するためか? どうせなら、ほっぺにチュがいいぞ」
四葉:「SILVIA兄チャマは可愛く誘惑すると出番を増やしてくれると…… さっそくチェキ、デス」


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