最後の真実
第1章 お兄ちゃん、会いたい!
 
第3話 「2番目の出会い」
 
シルビア








俺はその夜、ホテルに戻ると、パソコンを開いてメールを送った。
相沢祐一、そう、俺の東の街で唯一の親友だった男だ。

「相沢へ

 久しぶりだな、元気でやってるか?
こっちに来てみておもったんだけど、東の街に比べれば北の街の印象は田舎だな〜と思うよ。

 ところでな、相沢、聞いて驚くなよ。

 昨日、俺に妹がふたり出来たよ。
子供っぽいあどけなさの残る少女あゆと、物腰の上品な少女で美汐という。

 さらに驚愕的な事実もあって、俺にはまだ他に妹達がいるらしい。
 みんなバラバラに住んでいたんだが、これから北の街に集まってくるそうだ。

果たして、俺のこれからの生活はどうなるんだろうな。

相沢と受験戦争を一緒に戦った頃がなつかしいよ。
俺も北の街で頑張るから、相沢もがんばれよ」


とりあえず、ずっとホテルで過ごすわけにいかない。
明日には住む部屋を決めないと。

あゆと美汐は水田の方で住む場所を用意するからと、とりあえず父さんの家に引き取られた。
俺は今晩は一人で考えたいことがあって、ホテルに戻ることにした。

「それでは潤様、明日の夕方7:00にお迎えに上がります。今日はごゆっくりお休みください」
「それでは、お兄様、お休みなさい」
「潤兄ちゃん、ゆっくり休んでね。バイバイ」

まあ、これから住む部屋を決めてから、とりあえず街でもぶらつくとしよう。
あ〜、眠い。今日はこれで寝るか。


……翌日

それにしても、なかなかみつからないもんだな……
あ〜あ、このままじゃ、当分ホテル暮らしだぞ。
これなら、部屋なんて探さずに、最初から父さんの家に住めば良かったかな〜。
後で水田にでも相談してみるとしよう。

少し歩き疲れたから、俺は公園の噴水の周りに腰かけた。

「きゃっ!」

ふと、少女の声がした。
俺は声のした背中の方に振り向いた。

(うん?
 あ〜、右斜めのあの娘か……でも、水面をじっと眺めて、何してんだ?
 でも……可愛いな、あの娘)

「どうしよう〜!」

困ってるのかな?
どれ、柄ではないが、ちょっと声でもかけてみるとしよう。

「何か困ったことでも?」

「え、あ、あの〜、実は大事なロケットを噴水の中にうっかり落としてしまったのです。
 あのロケット、私のおばあちゃんの大事な形見なのに……どうしよう」

噴水はそれほどの深さはない、俺の膝下ぐらいの深さだ。
だが、中心に向かうほど少しずつ深くなる造りになっていた。

「じゃ、俺が取ってきてやるよ。どんな形をしてるんだ?」

「5cmぐらいの丸い形でハードの模様があるものです。
 ……でも、見知らぬ人にそんなことをして貰ったのでは」

「イイって、気にするな。大事な物なんだろ? ちょっと待っててな」

透明な水面ではなかったが、1M程先に、銀色の光を反射させる小さなものが見えた。

(多分、あれだな)

俺は服をまくると、噴水の中に足を入れた。
すぐに(冷てぇー)と思わず叫びたくなった。
そりゃ、裸足だから冷たいわな、と俺は少し後悔したが……
娘の申し訳なさそうな、でも期待しているような表情を見ては、もうちょっと頑張ってみるかという気分になった。

「あったよ〜、これだろ?」

俺は銀色のロケットを手に取り、それを空に掲げて、娘に言った。

「はい♪ ありがとうございます」

だが、嬉しそうな娘の表情に、俺もつい気がゆるんでしまったのか……

--ズルッ

俺はその場で足を滑らせて、見事に水面の尻餅をついてしまった。

--ざぶん

「うわっ」

冷たい水が容赦なく俺の服を襲った。
拍子に、俺のメガネが水中に落ちてしまった。

「きゃ〜! だ、大丈夫ですか〜?」

「だ、大丈夫だよ、ちょっとドジっただけさ……すぐ、戻る」

俺は落としたメガネを拾い、噴水から出た。
やれやれ、俺の服はすっかりずぶぬれだ。
それも綺麗な水ならいざ知らず、この噴水の水、結構濁っていたらしい。

「ハンカチではとてもぬぐい切れませんね」

娘は俺の服の水しぶきを、手に持ったハンカチで拭いてくれた。
もっとも、べっちゃりと濡れているから、ハンカチ程度では何とも役に立ちようもないのは分かっているが。

「とにかく……まずは、これ、渡しておくよ。大事なものなんだろう?」

「ありがとうございました。
 ……(え?あれ?ひょっとして……)……
 でも、こんな姿では風邪引いてしまいます」

娘はロケットが濡れてないかと中身を確認した……その時、驚愕の表情を浮かべたように思えたが。

「なーに、どうせ新しい服を買うつもりだったから、気にしなくていいよ。
 でも、この街は思っていた以上に寒いね。
 それに、メガネのフレーム、曲がっちゃったな、直さないと。
 あのさ、もしよかったらでいいが、君、洋服とメガネ屋を教えてくれないか? 」

「ふふ、この街に慣れてないのですね、分かりました。
 それでは、一緒に服を買いに行きませんか?
 お礼といっては難ですけど、店の案内ぐらいさせてください」

「それは有り難いな、どうもこの街の地理に疎くてね。じゃ、頼むよ。
 あ、俺、北川って言うんだ、よろしく」

「はい。私、三上可憐といいます。可憐と呼んで下さいね」

俺は可憐に連れられて、商店街に向かった。

「大事なロケットって言っていたけど、それには何が入っているの?」

「私のお兄ちゃんの写真です。なかなか会えないんですけど、それでも大好きなんです。
 でも……ふふ、それにお兄ちゃんは可憐が困った時にはいつも優しく手を貸してくれるんです。
 だから、お兄ちゃんの事を思い出すと、可憐はいつも幸せな気持ちになれて、笑顔でいられるんです」

「へぇー、可憐ちゃん程の可愛い妹にそこまで慕われるお兄ちゃん、なんだか羨ましいね。
 俺もそれ位、女の子に想われてみたいよ」

「え? 北川さんって女性と恋したことないんですか?
 不思議ですね……北川さん、メガネをつけないと結構格好いいですよ。
 それに……可憐のお兄ちゃんにもそっくりです♪」

「ははは、格好いいだなんて、そんな事言われたことすらないよ。
 可憐のお兄ちゃんに似ているというのは、なんとなく光栄だけどね」

「ふふ、北川さんって口上手ですね。案外、キザなんではありません?」

「キザ……だなんて、こんな事を言っている自分の方が不思議に思えてるのに?」

俺たち二人は洋服の店に入った。

「じゃ、服を買ってから、着替えてくるよ」

「はい、可憐は自分の服でも見てますね」

俺は奥にある試着室を借りて、服を着替えた。
(さて、帰るか)と思っていた時に、隣の試着室から声が聞こえた。


「すいません、ファスナーをあげて頂けますか?」


(はぁ〜)
とおもったが、とりあえず、その娘に言われた通りにしてあげた。
ロング・ヘアーのよく似合う綺麗な娘だった。

「ありがとう。……って、うん?」

「うん?」

「あ、いや……何でもないわ。
 ところで、この服、私に似合ってると思う?
 "久しぶりにお兄様に会うから、ばっちり決めていきたいの"」

「うーん? ちょっと子供っぽいかな〜?」

「そう……じゃ、こっちの服はどう?」

娘は最初はドキッとしたようだったが、嬉しそうな表情を浮かべては俺に尋ねた。

「ああ、似合ってるよ」

マジでかわいい。
でも、俺、なんでこの娘の服を選んでいるんだ?

「じゃ、これに決めた」

そう言うと、娘は再び試着室に戻った。
でも、俺の趣味で選んでいいものなのか?

「じゃ、今度はあたしがあなたの服を選んであげる」

「い、いいよ」

「そう言わないの。泥っぽくてせっかくの男前が台無しよ。えーと……」

娘はそう言うと、そこらから上下の服を選んで、手にとってもってきた。
こんな娘に男前と言われても……どうもピンと来ないが、どうにも釣られるな。

「どうかな……うん、ばっちり。気に入ってくれた?」

「おおっ、なんか俺が格好よくなったような気がする」

「ふふ、元から十分格好いいわよ。貴方、私のお兄様にそっくりだわ。
 私、三上咲耶っていうの。また会おうね。バイバイ♪」

「ありがとな。それじゃ」

何だったんだろうな、よく分からなかったが、まあいいか。
それに俺は、娘が赤らむほど、格好よかったのだろうか?
まあ、それは無いか。
俺は会計を済ませると、買った服に着替えて、可憐を捜した。

「あ♪ 北川さん、その服、とてもよく似合ってますね♪」

「そうか、服、買うのにつき合わせて悪かったね」

「いえ、私こそ、ずぶぬれにまでさせてしまって、ごめんなさい。
 それでは、北川さん、私はこれで失礼します。
 でも、北川さん--------"また会えますよね"」

「ああ、また会えるといいな。じゃ、気を付けてな」

この街でまた会える、期待したくなるが、現実は無理じゃないかな〜。
もっとも、会えたら会えたで楽しいとは思うけどね。

俺は走り去った可憐を見送った後、商店街の中を散歩した。

(うーん、可憐ちゃんといい、さっきの服屋の娘といい、どうしてこの街は可愛い子が多いのかな〜。
 よく考えれば……俺の妹のあゆや美汐も、ずいぶん可愛い女の子だしな)

あの娘、ちょっとお茶にでも誘えばよかったかな〜、勿体なかったかも。
まあ、仕方ない……ナンパみたいなのは、俺の柄に合わないだろうしな。

部屋探しする気も失せてしまったからだ。
それから俺はすこしぼーっとしながら商店街を散歩することにした。


……どん、どさっ、ズシャ、ゴロン


い、痛ぇ〜、マジに体がすっ飛んだぞ〜。
俺は後からタックルされ、その拍子に別の人ともぶつかった。

「うぐぅ、痛いよ〜」

「なんだ、あゆか、何で俺にタックルしてんだよ」

「だって、潤兄ちゃんの姿を見たらつい嬉しくなって、その、抱きつこうとしたんだよ」

「お前は抱きつくためにタックルするのか?」

「うぐぅ……潤兄ちゃん、ごめんなさい。でも、なんか嬉しかったんだもん、だから」

「やれやれ しかたない『うぇーーーーん……』って、うん?」

泣き声?
俺は声のする方を振り向いた。
12才ぐらいの少女が、買い物袋とその中身を道ばたにちりばめて泣いていた。



「姫の……姫の……大事な材料が……うぇーーーーん」



卵が数個割れてちらばり、小麦粉は袋が破れ中身が飛び出している、パンは泥雪にまみれたべられそうもない。
ちりばめられた材料に囲まれながら尻餅をついていた少女は、すっかり泣きべそをかいていた。

「ゴメンゴメン。君、俺がぶつかったせいで転んだんだろ?」

コクリ、少女は泣きやみながら、うなずいた。

「あーあ、お前のせいだぞ、あゆ。お前も謝れよ」

「……うぐぅ〜、ごめんなさい」

「とにかく、拾おう。あゆも手伝え」

俺は買い物袋に食材を拾って詰めた。

「君……ごめんね、もう泣かないで。
 ダメになったものは俺が弁償するから……その、もう一度買いに行こうよ」

少女は俺の顔をじっと見て、(あっ!)と叫び、すぐに泣きやんだ。
少女はそれから急に笑顔を取り戻した。

「はいです♪ 姫と一緒に買いに行くですの♪」

少女がなぜ急に笑顔になったのか、その理由が分からなかった。

俺はあゆを先に帰して、少女と商店街で買い物をした。
ぶつかったお詫びも含め、つい多めに買ってあげちゃったが、まあ、いいか。
何故か、少女はとてもルンルン♪とさっきからご機嫌だった。
俺はそんな少女と何気ない話をしながら、その笑顔に釣られて笑っていた。

「君は姫っていう名前なのかい?」

「いいえですの。姫にはちゃんと"白雪"という名前がありますの」

なんとも愛らしい感じがする少女だな。
だけど、自分のことを姫というあたり、白雪姫でも目指しているのだろうか。

「そうか。ところで白雪ちゃん、随分たくさん買い込んでるけど、パーティーでもするの?」

「ふふ、姫はですね、今日、大好きなにいさまと再会するんですの。
 それで、にいさまのために、姫の得意な料理とお菓子をがんばって作るんですの。
 そのために、姫の貯金をおろして、材料を買い込んだんですのよ」

「そうか、それは本当に悪いことしたね。ごめん」

「それは、もういいんですの。
 余分に材料を買ってくれたし、姫はとってもご機嫌ですの」

「荷物もたくさんあるし、白雪ちゃんの家まで、送っていくよ」

「姫、とってもうれしいですの、ルン♪」

白雪という少女は、何が嬉しいのかよくわかわないが、終始ご機嫌だった。
それから、俺は白雪ちゃんの荷物を持ちながら、家まで娘を送った。

それにしても、この街は、お兄ちゃんを好きな妹が多いんだな〜。
俺にも妹ができたし、これからはこんな風に妹に想われるのかな。

やがて俺たちは少女の家についた。
「三上」と表札がある。

(そういや、今日出会った可憐ちゃんも三上って名字だったような。
 それにしても……でかい屋敷だな〜)

それから、俺は白雪ちゃんに戻る道を確認して、その通り商店街の方に戻った。

ふと、電気屋の看板が目に止まった。
そういや、俺のノートパソコンのUSBフロッピー装置、調子悪かったな。
どれ、買っていくか。

買い物の会計をしようとカウンターの前にいくと、少女と店員がなにやら交渉してた。
「だから〜、この前買ったHDDの電源コネクタの接触ぐあいが悪いんだよ。
 あれは絶対、初期不良だよ。ね〜、交換してよ」

「いや、お客さん、初期不良の期間は7日間までで、もう10日経っているから」

「ダメ? ただでさえ研究資金が乏しいんだよ〜、おじさん、そこをなんとか!」

「わかったよ。お得意さんだし、今回だけは特別だよ」

「わーい」

ほー、ずいぶんと交渉上手なもんだな。
俺なんて、何度泣き寝入りしたことか。
たぶん、俺が頼んでも、値引きすらしてくれないだろうな。

「まったく、あの娘には勝てないよ〜」

「へ〜、じゃ、これもオマケしてくれるのかな?」

「お客さん、そういうジョークは女の子を連れている時だけにしてください」

「ははは、わかったよ。ところで、あの子は常連客なのかい?」

「発明好きで有名な子ですよ。なんせ、ロボット1体作るぐらいだから」

(北の街にはロボットを作る少女が居るって〜?どういう街なんだ)

そう思いながら、俺は電気店を後にした。

(うん、なんか忘れてないか?)

7:10か……そういや、水田が迎えにくるとかいってたな。
やべ〜、ホテルに戻らないと……ってもう無理か。
とりあえず、連絡を入れよう。

「もしもし、潤ですが、執事の水田さんはいらっしゃいますか?」

『潤様ですか? 今晩お迎えにいく予定でしたね。
 ですが、潤様、申し訳ありません。
 実は腰を痛めてまして、お迎えすることが出来ないのです。
 もし、よければ、こちらに直接いらしていただけますか?
 えーと、住所は……・になります』

「そうか、仕方ないね。水田に無理させるわけにもいかないし」

『恐れいります』




「お客様、着きました。880円になります」

俺はタクシーの運転手に代金を払って、降りた。

うーんと、教えてもらった住所は……・
え?この屋敷か?
間違いないよな……「三上」と表札もあるし……

……って、俺、さっきここに来たじゃないか〜〜〜〜〜〜




と、とにかくだれか呼んでみるか。

----ピンポーン♪
----「あの、北川潤といいます。執事の水田にここにくるようにと言われまして」
----「あ、お兄ちゃん?今、行きますね」


おにいちゃん?
はて、何のことだ?

俺が屋敷の門扉をぬけて、家の玄関まであるいてくると、目の前の扉が自然と開いた。
そして、その扉の先で、俺は4人の少女の出迎えを受けた。


「「「「お帰りなさい、お兄様!」」」」



「え、君たちは……さっき会った……」

「お兄ちゃん、可憐(かれん)です」(ポッ)
「お兄様、咲耶(さくや)です」(笑みキッス)
「にいさま、白雪ですの」(ニコッ)
「アニキ、ボク、鈴凛(りんりん)だよ」(ルンルン)


そして、それは、今日俺が今日出会った四人の娘達だった。
改めて名乗られたが、さっきとは随分違って親愛がこもっているような気がした。

それに、みんな"お兄ちゃん"と言っているのは何故?
呼び名はお兄ちゃんだのお兄様だの、それぞれ違うが……

「ひょっとして……君たちはみんな俺の妹なのかい?」

まさかと思うが尋ねてみた。
もし、本当に妹だとしたら、北の街で出会った少女達にちょっぴりときめいた俺は……シスコンというわけだが。


「ええ、そうなの。
 驚かしてごめんなさい、お兄ちゃん。
 実は、お兄ちゃんに会って、途中で気がついたんだけど、いきなりで心の準備ができてなかったかし、
 …… つい、可憐、恥ずかしくなっちゃって知らないふりをしてしまったの」

-----可憐はすっかり照れてしまって、真っ赤な顔で俯いた。


「お・兄・様〜、これから咲耶との愛・の・日・々、楽しみにしてね♪
 これ、さっきお兄様が選んでくれた服よ。あたし、とっても気に入っているの」

-----咲耶は北川に抱きついて、北川の首に両手をもたげて、色っぽい口調で言った。


「ねえねえアニキ、今月研究資金がピンチなんだ。
 優しいアニキがほんのちょっとだけカンパしてくれると嬉しいんだけど」

-----鈴凛は北川の袖をつまんで引っ張ってから、両手を合わせてお願い!と懇願した。


「姫、今晩、にいさまのためにごちそう作ったんですの。
 たっぷり食べてくれると、姫はうれしいんですの」

-----可愛らしい微笑みを浮かべながら、白雪は北川に言った。


「美汐ちゃん、潤兄ちゃんもみんなも、とっても嬉しそうだね」

「そうですね、あゆちゃん。
みんなもこれまで一人ぼっちだったから寂しかったんでしょうね。
 でも、潤兄様も大変ね。いきなり6人の妹の兄になるんですから」

「ところで美汐ちゃんは、ボクのことお姉ちゃんとは呼んでくれないの?」

「ごめんなさい。だって、ボクって言いますし、それに、あゆちゃんを見るととてもお姉様とは呼べなくて」

「…………美汐ちゃんの意地悪」

-----そんな姿を螺旋階段の上から見守る、あゆと美汐がいた。


やがて、ホテルから水田が荷物をこの屋敷に持ってきてくれた。
そして、俺はその日の夜から、この屋敷で世話になることになった。
じゃ、不動産屋を回った俺の苦労はなんだったのか……納得いかない。
もっとも、そんなことなど、ささいな事だろうと思うけど。


(俺はこれから一体……)


そう思いながら、俺は明るくにこやかな6人の妹達と、その晩は一緒の食卓を囲んだ。
白雪の作った料理はとても美味しかった。

「にいさま、姫特製のプロバンヌ風ハンバーグ、いかがですの?」

「アニキ、今度おれの作ったロボット、みてくれよな」

「お兄ちゃん。その……可憐ね、香水を買いにいきたいんだけど、つき合ってくれないかと思って? お兄ちゃんの好きな香りを知りたくて」

「お兄様、このリップの色、私に似合ってます?
 ……お兄様の好みはこれかなと思って選んだのよ。
 お・兄・様、この唇にキスしたくなった?」

これだけの人数の会話だと、すっかり話題もなにもあったものじゃない。
ただ、明るく笑う声と表情だけが俺の印象に残った。


(6人の妹の兄ってのも、案外、悪くないのかな)


……同じ頃、北の街

ここに、タロットを手にする少女がいた。

(『正の運命』『正の感情』……ふーん、なるほどな。
 3人の少女が兄くんとね。
 ふっ、私もやっと兄くんに……運命で結びついた二人の再会……)


長刀と長弓をかかえながら、屋敷の明かりをみつめる少女が一人。
その手には大きな荷物があった。

(ようやく、お会いできますね…………ワタクシの兄君さま。
 ワタクシ、とっても嬉しいです!
 長い間離れ離れになっていましたけれど、やっとおそばでお仕えできる日が来たのですね。ポッ♪)


拡大鏡を手にもち、片目で屋敷の明かりを眺める少女がいた。

(うふふっ、ついに兄チャマを見つけちゃった。
 兄チャマに会うために、はるばるイギリスからやって来たのよ!
 兄チャマ、これからは隠し事なんかしても全然ムダよ。
 四葉の推理でみんなお見通しなんだから)










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後書き by 作者
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……ドスっ、ずたん

作者:「痛いな〜、あゆ。タックルは祐一か潤にだけしろよ」
あゆ:「SILVIA兄ちゃん、酷いよ〜、ボクが全然でてないじゃん。
    それに美汐にからかわれているし」
作者:「当然だろ、あゆ。真実は曲げられない」
あゆ:「…………」

咲耶:「SILVIAお兄様〜……咲耶、こんな風に色っぽく書いてくれてうれしい♪
    特別♪(チュッ)」
作者:「うは〜♪」

あゆ:「美汐ちゃん、咲耶ちゃんがSILVIA兄ちゃんを買収してるよ」
美汐:「この際、佐祐理お姉様に密告しましょうか。
    佐祐理お姉様を怒らせたらどうなるかわかりませんけど」 
作者:「ちょっと、ちょっと、美汐〜、あゆ〜」
美汐:「知りません」
あゆ:「ボク、知らないもん」

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