1人になるのは辛いことだと思うけど・・・2人でいても辛いと思うことがあると初めて知った。
僕はもう慣れてる・・・今まで1人で生きてきたつもりだから。
でも、マナは・・・・・・違った。
慣れてもなかったし、今までそういうことを体験したことなかったんだと思う。
いや、普通に考えれば僕がおかしいだけ・・・・か。
どこからともいわず湧き出てくるこの怒りは何だ・・・?
ただ、ただ立っているだけなのに・・・・何故?
「元」家があった場所に立っているだけなのに・・・。
かける言葉がない・・・何を言えばいいかわからない。
ただ・・・・見ていることしかできないのか・・・・?
わかってるんだ・・・・マナも・・・・。
何故ここがただの「場所」になってしまったかが・・・・。
だから・・・・・泣いてるんだ・・・・。
ポツポツ・・・・ポツ・・・・ザアアアアァァァァーーーーー
太陽が山に消え、辺りが暗闇に包まれてきた頃・・・不意に雨が降りだした。
雨具など持っているはずのないシンジとマナ、2人は少しずつ濡れていく・・・。
だが・・・動こうとはしない。
「・・・・・マナ・・・・風邪ひくよ・・・・?」
とてつもなく重い空気、呼吸をするのすら辛くなる・・・シンジのその一言だけでも、相当の覚悟がいった。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
声が小さかったので聞こえなかったのか、聞いても反応しないのか・・・マナの状態は変わらない。
ザアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ
雨はますます強さを増し、2人はもはやずぶ濡れになっている。
辺りに人の気配はなく、異常なほど静まりかえっている。
「(涙・・・・枯れないんだろうか・・・・・)」
関係のない思いが、シンジの頭をよぎる。
0
ゼロ
零
何もない
「・・・・・マナ」
「!?」
シンジは強くマナの体を抱き寄せた。
「・・・・・・とにかく・・・・どこかで雨宿りしないと、大変なことになる」
「・・・・・・・・・シンジ・・・・・」
「・・・・2人・・・・なんだ。・・・・もう・・・・誰もいないんだよ・・・・ここには」
全然寂しくもないのに、悲しくもないのに・・・シンジの目からは涙が流れ出る。
温かくなかった、雨でびしょ濡れになった服を着ており、シンジからマナへ、マナからシンジへ・・・どちらにも温もりは伝わらない。
「・・・・お父さんも・・・・お母さんも・・・・・」
とどまるところを知らずに流れ出る涙・・・枯れることも知らず・・・。
濡れた顔、泣き顔・・・今は判別することなどできやしない。
「・・・わかってる・・・・わかってるから・・・・・・・マナ」
シンジのマナを抱く腕の力が増す。
「シンジは・・・・・悲しくないの・・・・?」
ズキッ!!
不意にマナの言葉が、シンジの胸に突き刺さる。
悲しくないとは言えるが、こうして人に問われると・・・・・答えられない。
「(僕は・・・・僕は・・・・悲しくない・・・・・のか?それとも・・・・)」
マナから離れ、無意識に足を動かすシンジ、「売り地」と書かれた立て札を通り過ぎ、何もない「元」家があった場所へと・・・。
バシャン!
広場になってしまったその場所の、中心ぐらいにシンジはつくと、地面が水溜りになっているにも関わらず、背中から倒れた。
「悲しくなんかないさ。僕は・・・・ずっと1人だったんだ」
妙に説得力がない・・・強がっているように見える。
「・・・・シンジ?」
マナも広場になっている売り地に、足を踏み入れた。
「1人だったんだよ・・・1人でいたかったんじゃない、1人じゃないといけなかったんだ」
「・・・・・・・・・」
「誰も・・・僕を受け入れてくれなかった。一緒に住んでいた人にだって・・・邪魔者扱いされて・・・・。結局は勉強部屋を建て、追い出された」
「・・・・・・・・・」
「寂しくなんてなかった。邪魔者扱いされた時は・・・むしょうに腹が立ったり、悲しくなったりしたけど・・・・。だって、ずっと1人だと・・・・寂しさがよくわからなくなるんだ、感じなくなってしまうんだ、他の感情と混じってわからなくなっちゃうんだ」
「・・・・・・・・・」
シンジは地面に倒れたまま、話し続ける。
マナはシンジのすぐ隣につくと、足を止めた。
「マナは・・・・違った。僕はずっと1人だったけど、いつも僕のところにきて・・・2人にしてくれた。嬉しかった・・・・そうだと思う。素直に言えない・・・みんなが言うみたいに・・・・僕は「ヒネクレてる」から・・・」
「・・・・シンジ・・・・」
「好きになった・・・・そうだと思う。マナがいる時だけ・・・僕は2人だった、1人じゃなかった。普通のみんななら・・・拒絶するのに・・・マナだけは僕に普通に接してくれた。だから・・・意識しないうちに・・・・「好き」になったんだと思う」
「・・・・・・・」
「僕が何をしても・・・どんな失敗をしても・・・マナは笑ってた。笑顔で元気づけてくれた・・・・。普通の女の子のマナなのに・・・・僕よりずっと先に進んでるように見えた・・・ずっと上の方にいると思った」
「・・・・・・・・・」
「・・・・いつしか思うようになっていたのかもしれない・・・・「マナは僕のことを好きだったらいいな」・・・・って。いくら思っても・・・僕は優しく接することなんてできなかったけど・・・・」
「・・・・・・・・・」
「ヒネクレタ自分を恨んだかもしれない・・・・。でも、それが自分だから・・・仕方がない。変われなかった、いや、変わろうとしなかった・・・・何故かわからないけど・・・・怖かった」
「・・・・・・・・・」
「ねえ・・・・・マナ
僕が変わったら・・・どうなるのかな?自分が自分でない自分になったらどうなるのかな・・・・?」
続く
あとがき
勘弁して(爆)
書いてるこっちがこのままでは汚染されてしまう(爆)
次回、第14話「自分を壊して・・・」
※この小説・・・20話ぐらいで終わる気がします(核爆)
ヒネクレタ少年?
kei
原作:新世紀エヴァンゲリオン
第2章 ~敵の集団の中に放り込まれた状態?~
第13話 「雨」
第13話 「雨」