ヒネクレタ少年?
kei
原作:新世紀エヴァンゲリオン
第1章 ~嫌な少年?残酷な機関?~
第7話 「同じ事・命の返還」
『き、霧島さん!!』
マナの行動にミサトが叫んだ。
「アスカ・・さん・・・・早く・・・・・今のうちに・・・・使徒・・・を・・・・・・」
初号機の腹部は使徒の二本の鞭に貫かれていた。
だが、初号機はその鞭を持っている、つまり使徒の動きを封じたことになる。
それでもパイロットであるマナはダメージがフィードバックされて重傷だ。
『バカ!!・・・・死なないでよ。ここで死なれたら後味が悪いんだからね!!』
と、アスカが言うと、弐号機はソニック・グレイブを構え、使徒めがけて突進を始めた。
「はぁ・・・はぁ・・・うぐっ!!・・・・はぁ・・・・(シンジ・・・これでよかったんだよね・・・?)」
マナが口から吐き出した血は、着ていた制服を赤く染めた。
使徒の鞭には熱力もあるらしく、それを掴んでいる初号機の手の装甲が、少しずつ焼け爛れていく。
もちろんそれはマナにもフィードバックされ、例えようのない痛みを与えた。
ただ、マナがした選択はよかったことかはわからない。
シンジがしていたことを真似ただけなのかもしれない。
だが、自らの命を死の境界線に立たせる危険なことということは確かだ。
『くらええええええぇーーーーーーーっ!!!!』
ブワッ!!
使徒のすぐ後ろまで移動した弐号機がソニック・グレイブを振りかぶった。
『うわ゛あああーーーーーーーっ!!』
アスカの声にならない叫びが響く。
ズバアアアッ!!
振り下ろしたソニック・グレイブは、使徒をコアごと真っ二つに切断した。
キイィィィィーーーーーーーン!!
突如、切断された使徒が光りだした。
『目標に高エネルギー反応!!』
『自爆!?アスカ!!逃げて!!!!』
『了解、でもミサト!!逃げるって・・・初号機は!!』
弐号機が使徒から離れ出した。
「うぅ・・・・使徒が・・・・・光ってる・・・・」
目が霞んでよく見えないマナだが、使徒が光り出したことだけは確認できた。
使徒は真っ二つに切断されているものの、初号機の腹部は使徒の鞭に貫かれたままだ。
逃げられない。
『霧島さん!!逃げて!!使徒が爆発するわ!!』
ミサトが叫ぶ。
「爆発・・・・?・・・・だめ・・・・動けない・・・・・・」
マナは初号機を動かそうと試みるが、痛みで思考がうまく働かない。
キイイィィィィーーーーーーーン・・・・・カッ!!
ズドオオォォォーーーーーーーン!!
初号機は光に包まれた。
使徒は爆発し、周辺にある物を吹き飛ばした。




発令所
「も、目標消滅・・・・」
主モニターにはサンドストームが走り、何も映し出されていなかった。
「エヴァは!?」
ミサトが聞く。
「弐号機は後退したために被害を受けてはいません、しかし初号機の反応はありません!!」
「なんですって!?リツコ、あの爆発に初号機は耐えられるの?」
「ATフィールドを展開していれば無傷だわ。でも展開していなければ・・・・粉々にはなっていないでしょうけど大破は避けられないわ」
「そんな・・・・」

第3新東京市内
ズン・・・ズン・・・ズン・・
燃え盛る炎の中をゆっくりと移動する物体・・・初号機があった。
その装甲はボロボロになっていた。
「うぅ・・・あ・・・う・・・・・・・・」
マナは痛みにうめいているだけ、つまり初号機はマナが動かしているわけではない。
何故動いているか?それはわからない。
とあるビルの横まで初号機は動いてくると、動きを止めた。
ガラン・・・・ズン!!
初号機の頭部のパーツが落下し、装甲の下にあった生物的な気味の悪い素体が姿を現した。
頭部パーツが落下したのは、爆発の威力と、頭部の応急修理があまり行なわれていなかったからだろう。
横にあったビルにその姿は映り、エントリープラグ内にあるモニターにもその映像が映し出された。
映っているのは顔の右側。
「う・・・ぅ・・・・・!?(何・・・これ・・・?気持ち悪い・・・・)」
ニュル!!
「っ!?」
右目にあたる部分から、不気味な眼球が現れた。
不気味な眼球の視線とマナのモニターを見る視線が一致した。
「!!??!?い、いやっ、いやあああーーーっ!!」
その光景にマナは痛みを忘れて悲鳴をあげ、意識を失った。










「・・・・・・・・・・・・・・・・う・・・・」
マナは目をゆっくりと開けた。
「・・・・・病院・・・?」
どうやら病院の病室の中だ。
隣のベッドにはシンジが眠っていた。
正直に言ってマナは次に目を覚ます可能性は低いと思っていただけあって嬉しかった。
「シンジ!!う゛っ!!」
体を起こし、すぐにでもシンジに跳びつきたかったマナだが、体がそれを許さなかった。
少し体を動かしただけで腹部から痛みが走る。
両手には包帯がぐるぐるに巻かれており、どうなっているかわからない。
「う゛ぅ・・・・ぐ・・・・・」
マナは痛みを堪え、無理矢理体を動かそうとする。
「・・マナ・・・・無理・・・しちゃダメ・・・だよ」
いつのまにかシンジが目を覚ましていた。
「シンジ!!」
「マナ・・・使徒に・・・・勝ったんだね・・・・・・」
シンジの掠れるような声は前と変わらない。
「・・・・・うん!!・・・・でもシンジと同じ事になっちゃった・・・・」
「無茶・・・・しないでよ・・・・死んだら・・・どうするつもりだったの?」
無茶とは使徒の鞭を体に受けて、使徒の動きを封じたことである。
「死んでも・・・よかった・・・・・・この命はもうシンジのモノだし・・・・・」
「何言ってるんだよ!!」
「っ!?」
シンジの言葉に思わずマナは身をすくめてしまった。
「何でマナの命が僕のモノなんだよ!!何でなんだよ!!」
シンジは痛みを堪えてベッドから降り、マナのベッドへと歩いた。
「シンジ・・・・」
「僕がマナを助けたからか!?だからマナの命が僕のモノだっていうなら絶対に間違ってる!!マナの命はマナのモノだろ・・・?僕はマナの命なんかいらない」
「・・・・・・・・・ぐす・・・ぐす・・・・」
マナは泣き出した。
「怖かったんだもん・・・・そう思うことしかできなかったんだもん・・・・使徒の前に立っただけで・・・体の震えが止まらなかった・・・・怖かったのよ」
「・・・・マナ・・・」
「自分の命を自分のモノと思うだけで逃げ出したかった・・・・でも・・・・シンジのモノだと思うだけで・・・・怖くなくなった・・・・ううん、怖くなくなったんじゃない・・・ただそれでも逃げてただけなの・・・・・・自分の命を強制されていると思って逃げていただけなの!!
「・・・・やめろ・・・・それ以上言うな・・・・・」
「ただ自分で自分の命を捨てるかもしれないことが怖かったの!!自分の命を自分のモノじゃないと思えば捨てられるかもしれないと思っていただけなの!!臆病なのよ!!私は・・・・どうしようもないくらい臆病なのよ!!」
「マナ!!」
シンジは「止めろ」と言うのだがマナは言うのを止めない。
「それくらい臆病な私に自分の命をどうとかする権利なんてない!!自分の命を自分のモノと思えないこんな私なんて「やめろ!!」!?」
シンジの叫びでマナの声はかき消された。
ベッドに乗り、マナに馬乗りになるような体勢になったシンジはマナの唇を自分の唇で塞ぎ、黙らせた。
「ん・・・・・(シンジ・・・・)」
二人のファーストキス・・・・初めてのキスはこの状況下だった・・・・。

シンジはゆっくりと唇を離すとこう言った。
「違うと思いたいんだ・・・。マナは臆病なんかじゃない・・・だってあの使徒と戦ったんだろ?どう思っていたにしてもマナが戦ったことにかわりはないんだ。普通の人じゃエヴァに乗ることさえできないさ、恐怖のあまりに・・・きっとね。だからマナは臆病なんかじゃない・・・・。それに・・・自分の命は自分のモノ・・・仮に僕がマナにマナの命を貰ってたとして・・・・今、ここで返すよ・・・・・」
「シンジ・・・・・ありが・・とう・・・・んん!?」
シンジはもう一度マナの唇を自分の唇で塞いだ。
「んんん!?(シンジが・・・・私に入ってくる・・・・・)」

そのキスは・・・今まで二人が体験したことのないものだった・・・・。




続く



あとがき
ダーク!ダーク!ダーク!
しかも最後の方は暴走気味・・・・
今後はどうなるんだか・・・

次回予告・第8話「僕は(私は)転校生」
第1中学校に行くことになったシンジとマナ
そこでは新たなる仲間(?)との出会いと波乱の幕開けが待っていたのだ・・・
クラスのみんながシンジとマナに「ありがとう」と言った理由は?