自分を壊そうと思った

 

それが新しい自分になる方法だと思った

 

そうすれば新しい自分になれると思った

 

できると思っていた

 

信じていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ヒネクレタ少年?

終章 〜新しい自分?〜


最終話「決意、その固さ」

 

 

 

 

僕は第3新東京市に戻ってきた・・・あの忌々しい場所に。

自分を変えるために戻ってきたのか、人類を守るという父さんの目的を手伝いにきたんだか・・・、問われれば答えることは1つ、「新しい自分になるためだ」。

本当を言うとマナを放って来たくはなかった。

だけど・・・この場所に再びマナを連れて来たくはなかった。

ふと街中を見れば、ピラミッドが上下に合体したような青い奇妙な巨大な物体が放置されていた。

「使徒・・・・か。僕がいなくても倒せるぐらいなら、最初から呼ばなければよかったのに」

その物体の中心付近に、何かで貫かれたような跡があった。

見た感じからして、何かで撃ち抜いたのだと思う。

「・・・・・?」

ふと郊外の山を見てみると、巨大なクレーターができていた。

これも使徒との戦闘の跡なのだと思う。

「1回や2回じゃなかったか・・・。よく生き延びれたね・・・父さん」

僕は知らず知らずのうちに笑っていた。

この笑みが今この場には不適なものだとはわかっているけど、何故か笑ってしまった。

何だか決心をして戻ってきた自分が馬鹿らしく思えたのかもしれない。

だけど・・・ここから帰るつもりはない。

新しい自分じゃない今の自分でマナの所に帰っても意味がないと思う。

 

少し考えてとあることに気づいた。

【どうやってネルフに行けばいいのか?】だった。

当然、チルドレンとしてはとっくに登録を抹消されているのだから、ネルフに入れるわけがなかった。

ではどうすればいい?

さすがにここまできて入れないので帰るなんてことはできないよね。

ジオフロントに入ることができないとネルフに入ることができないのは確実。

でも、ネルフに勤めている人はほとんどが本部に住み込みで仕事をし・・・・・・・いや、いた。

ミサトさんだ。

ミサトさんなら、夜にはネルフからあのマンションに帰ってくるはず。

それに・・・・ミサトさんなら信頼できる。

いや、ミサトさんだけがネルフで唯一信頼できた人だった。

悲しいけど・・・それも事実だったんだ。

まさかここでミサトさんに頼ることになるなんて・・・思ってもなかった。

「・・・・・・・早い・・・・ね」

そこらの建物に設置された時計を見ると、まだ午後の3時過ぎだった。

当然と言ってはなんだけど、ミサトさんは家にはいない。

 

ネルフに行く以外の目的は何1つないから、僕は近くにあった公園のベンチで寝ることにした。

行動の前の一時休息、そう思えば悪くない気がした。

マナは・・・・今頃何をしてるのかな・・・?

 

 

 

 

「・・・・ろよ」

「・・・・・・・・・きろよ」

どれくらい寝たのかな、意識はあるかないかよくわからない感じなんだけど、どこからか声が聞こえてくる。

「シンジだろ?起きろよ」

「え・・・?」

聞き覚えのある声、そう感じて僕は目を開けた。

「おいシンジ、お前こないなところで何やっとんのや?」

「第一、お前転校したんじゃなかったのか?」

「トウジに・・・・ケンスケ」

声の主はトウジとケンスケだった。

僕はすぐに体を起こして公園の中央付近に設置されている時計を見た。

時刻は午後の4時36分、学校は当然終わっている時間で、トウジとケンスケがいてもおかしくなかった。

 

トウジとケンスケ、2人に状況を説明するのに、かなり時間がかかってしまった。

2人は何も文句は言わなかった。

逃げたことに。

理解してくれていたんだと思う、マナと2人で話した時に。

父さんの酷さ、エヴァの恐怖、僕達の苦しみ・・・。

わかっててくれたからこそ、何も言わなかったんだと思う。

 

「トウジ、ケンスケ、また会えたのは嬉しいけど・・・・もう別れないといけないんだ。僕にはやることがあるから・・・」

そう言って僕は足早にその場から離れて行った。

本当を言うと別れたくはなかった。

もっと長く喋っていたかった。

だけど・・・もう少しでも一緒にいたら別れられなくなりそうだったから。

「シンジのやつ、何か雰囲気がかわっとらんかったか?」

「ああ。何だか・・・・・」

2人の言ったことは、僕には聞こえなかった。

 

1週間と少し、それが僕とマナが第3新東京市にいた時間。

たったそれだけだったからもあって、場所があまりわからなかった。

だけど、少しでも覚えのある目印を頼りに、ミサトさんの住んでいるマンションへ向かって前進した。

あの角にあるコンビニ、よく車が渋滞している交差点・・・なんとなく懐かしかった気がした。

「懐かしい」という感情が持てるほどいたわけでもないのに・・・。

「・・・・・ここだね」

おそらく正解であろうマンションに到着したころには、とっくに日が暮れていた。

 

 

 

 

コンフォート17マンション、それがマンションの名前だったと思う。

地下の駐車場にはミサトさんの車がある、間違いなくミサトさんは家にいる。

 

手が震えている、何故だかわからない、玄関のインターホンが押せない。

心の底ではまだ見ぬ闇を恐れているのかもしれない、ミサトさんにまで見捨てられたら・・・・。

いや、それ以前に僕はエヴァのパイロットをやめているんだ。

見捨てられても・・・・・・・文句なんて言えないよね。

ピンポーン

無機質・・・ほぼ無音のマンションに、1回のインターホンが響いた。

誰も周りにはいないのに誰かに見られているような気がして、背筋がぞっとした。

『はーい』

扉の向こう側からミサトさんの声が聞こえた。

意識的に唾を飲み込んだ。

今なら間に合う、今ならまだ逃げれる、だから・・・と、弱い考えも出てきたが、振り切った。

 

今、扉が開いた・・・もう逃げられない。

もう逃げないって決めたんだ。

だから・・・怖くない。

僕は顔を上げ、ミサトさんの顔を見た。

「・・・シンジ・・・君・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

言葉が出なかった。

正しく言えば、出したくても出せなかった。

だけど、ミサトさんは無言で僕を家の中に入れてくれた。

 

当たり前のように食事をしていた木製のテーブルと椅子、あの空間。

僕は今そこにいる。

「いったいどうしたの・・・?シンジ君、エヴァのパイロットをやめて、第3新東京市を離れたはずじゃ・・・」

正直言って少しは怒られると思っていた。

だけど・・・そんなことなかった。

「・・・・・どうしたの・・・?」

うつむいたままで顔を上げない僕に、ミサトさんは心配したのか、声をかけてくれた。

本当は上げたかった、けど上げれば余計にミサトさんを心配させそうだった。

泣いていたから。

「酷いですよね・・・父さん。帰る場所・・・奪っちゃうんですから」

「え・・・?」

話すときぐらいはミサトさんの顔を見てしたかったけど・・・だめだった。

「前の場所に帰りました。けど・・・僕もマナも家はありませんでした。住民登録からまで・・・「碇」と「霧島」は消されていました。もう・・・いえ、データ上で言えば・・・僕とマナは「いない」ことになってます・・・」

「嘘・・・・」

やっぱり知らなかったみたいで、ミサトさんは驚いていた。

当然か・・・。

「ミサトさん・・・僕、もうネルフに行けないんですか・・・?」

これが本題だった。

普通に考えても、ミサトさんだってネルフの人なんだからいい答えはしてくれそうにないと思っていた。

「・・・・・・いえ、行けるわ。それも色々な方法で」

予想外の返答だった。

しかもその色々な方法をミサトさんは教えてくれた。

 

確かに色々あったのだが、確実的に行けそうなのは2つだった。

1つが、ミサトさんのIDでジオフロントへのゲートを開き、その時に一緒に入るものだった。

当然、監視カメラが設置されているらしいから、見つかれば黒服の職員が集まるのに時間はかからないらしい。

だけど、そこを「加持リョウジ」さんという人に頼んでどうにかしてもらうらしい。

もう1つが、シェルターから入る方法。

第3新東京市のいたる所に設置されている地下シェルターは、実は、全てジオフロントに繋がっているみたいで、そこからネルフ本部に行けるらしい。

それに、ジオフロントに入る扉はミサトさんのIDで開けられるらしい。

 

僕は上記の方法でネルフに向かうことをミサトさんに言った。

下記の方法がダメな理由、シェルターは非常事態宣言が発令されないと開かない仕組みになっているからだった。

 

「ミサトさん、今日・・・・・」

「わかってる。シンジ君の部屋・・・・そのままにしてるから」

ミサトさんの色々な気遣い、とても嬉しかった。

 

 

 

 

<翌日>

予想外だった。

こんなにも簡単にネルフに入れてしまうなんて思わなかったから。

僕はIDカードでゲートを開いたミサトさんについていっただけ、他には何もしていない。

加持リョウジさんが監視カメラに映らない細工をしたとか言っていたけど・・・何だったんだろう?

チャフがどうとか言っていたけど・・・僕には全然わからなかった。

 

今、ジオフロントを下りていく長いエスカレーターに乗っている。

もうそう時間がかからないうちにネルフ本部に着く。

父さんのいる所に・・・。

何を言われるか、どんな目で見られるか・・・なんとなくわかる。

だけど・・・逃げない、逃げちゃダメだ。

 

いつ拘束されてもおかしくないと思う。

僕は・・・立派な不法侵入者だから。

でも、何もしないまま捕まるわけにはいかなかった。

何もしないままじゃミサトさんと加持リョウジさんまで・・・。

今は進むしかない。

 

今、エレベーターに乗った。

もうすぐ・・・司令室のある階に止まるはず。


思い返してみれば、マナが拘束されてしまったのも、マナがエヴァに乗ることになったのも・・・全て僕の責任だ。

これは・・・父さんの所為ではない気がする。

僕が素直ではなかったからこそ、あの時マナが拘束された。

僕が無茶苦茶な戦いをして負傷したから、あの時マナがエヴァに乗ることになった。

つまり・・・僕は馬鹿だった。


チーン

エレベーターが止まり、扉が開いた。

逃げるつもりはなかった、もう進むしかない、それしか・・・するつもりはない。

ゴウウウウウゥゥゥゥゥン・・・

今、司令室の扉が、無機質な音を立てて開き始めた。

 

 

 

5(終)

 

今、僕と父さんは対峙している。

1つの机を挟んで。

「・・・・何故お前がここにいる」

「・・・・・・・・・・・・」

予想通りの言葉がきた。

だけど・・・何故か言い返せなかった。

何か見えぬ重圧に押さえつけられているような嫌な感じがする。

「何故お前がここにいるのかを聞いている、答えろ」

「僕がここにいちゃ悪いの?」

強気に出ないといけないと思った。

そうしないと・・・押し切られてしまいそうだった。

「当たり前だ。お前はネルフの関係者ではない」

「それはそうだね。僕からやめるって言ったんだからね。だけど・・・今は違う」

「だからどうしたというのだ?目障りだ、帰れ」

「帰る場所を奪っておいて・・・何を言うんだよ」

 

ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!

警報音が鳴り響いた。

非常事態・・・使徒の襲来・・・だね。

「使徒だ。今のお前はここにいる意味などない、消えろ」

「嫌だね!!」

前に進むんだ。

逃げないって決めたんだ。

新しい自分になるって決めたんだ。

だから・・・

だから・・・

僕は何度でもこう言う

 

「僕は・・・エヴァンゲリオン初号機パイロット、碇シンジです!!」

その言葉を聞いた父さんの口元が・・・かすかに歪んだような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう遠くないうちにくる永遠の冬

人々はその到来を恐れず、

そして知らない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終劇

 

 

 

 


あとがき

勝手な都合で15話にて終了となってしまいました(おい!!

悪いとは思っていますが・・・・それ以前にこれ読んでる人いたんだろうか?(爆汗

何だか誰にも読まれないまま始まって終わった感じがするんですけど・・・(TT

まあ・・・・気のせいということにしときましょう(汗

 

実を言うと・・・続きあります(爆

ダークな完結編が(爆

まあ・・・・反響はほぼゼロなんで書く気もゼロですけど(笑

少しでも反応あれば話は別かもしれないですけど(苦笑

 

ありがとうございました〜!!

 

終了(?)


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