発令所

「使徒殲滅、ですが初号機も沈黙!!」

主モニターには倒れた初号機が映し出されている。

「シンジ君は!?」

「パイロット・・・呼吸心拍ともに微弱!!意識不明!!右目、後頭部、腹部から大量出血です!!」

「そんな・・・・エントリープラグを緊急射出、救護班を急がせて!!・・・・リツコ・・どうにかならないの・・・?」

焦るミサトはリツコに案を求める。

「・・・・生命維持システムを最高にして!!LCLの循環スピードも最大に!!」

「「了解!!」」

 

 

個室(マナ監禁場所)

「シンジィーーーー!!」

マナの顔は涙でぐしょぐしょに濡れていた。

「・・・・・・(・・・・くっ・・・これも仕事なのか・・・?こんな少女を絶望の池に落とすのも仕事なのか・・・?用済みになれば消すのも仕事なのか・・・?・・・・・それは間違っている・・・それは人類を守る者がすることなんかじゃない!!)」

黒服の男はマナに心を打たれた・・・そして自分の「正しい」と思うことを実行する・・・かすかな希望にかけて・・・

ブチッ!!ブチッ!!

「え・・・?」

黒服の男はマナを椅子に縛り付けている紐を、上着の内ポケットに入れてあるナイフを取り出し、切断した。

バラバラッ・・・

切断された紐は床に落ち、マナの体が自由になった。

「行け・・・行くんだ」

「そんなことして・・・大丈夫なの・・・・・・?私を逃がして大丈夫なの・・・・?」

「これは私の独断行為だ。知れれば私の命はないだろう。だが、私は君にかけてみたくなった・・・・行くんだ・・・・・「彼」のところに・・・・・・・わずかな可能性だが「彼」を助けるのは君にしかできない・・・・少なくとも私にはそう思える」

「・・・・・・・ありがとう・・・・・。それに・・・・ごめんなさい・・・・」

マナは涙を流して感謝をし、そして謝った。

「よし、「彼」のところに行くぞ。場所はおおかた予測できる、ついてこい」

「・・・・・・おねがい・・・します・・・・」

二人は部屋から出て、通路を走って行った。

 


ヒネクレタ少年?

第1章 〜嫌な少年?残酷な機関?


第4話「命の選択を、奇跡の生存者・・・?」

 

発令所

「初号機の収容完了しました!!」

「パイロットは現在治療室で緊急手術中!!」

「リツコ・・・・シンジ君・・・・助かるかな・・・?」

ミサトは両腕を震わせながらリツコに聞く。

「それはわからないわ・・・・ただでさえ重傷だったのに無理矢理初号機を動かしたから・・・・助かる可能性は低いわ・・・」

「・・・・・・シンジ君が死んだってことになったら・・・・、霧島さん・・・どう思うかなぁ?」

「おそらく・・・・死ぬでしょうね・・・・」

リツコの口からは冷酷な言葉が発せられた。

「っ!?リツコ、それ、どういうことなの!?」

「シンジ君がいなければ彼女は用済み・・・ってことかしら?その前に彼女から死を選ぶ可能性だってあるわね」

「・・・・酷い話ね・・・ここ、・・・本当に人類を守る機関なの・・・?・・・霧島さん・・・彼女・・・まだ監禁されてるの・・・・?自由にしてあげようよ・・・・」

「それができないのがネルフなのよ」

ピーッ!ピーッ!

オペレーターの席にある電話が鳴った。

ガチャ

「はい、こちら発令所。・・・・・なんだって!?ああ、わかった」

ガチャ

「葛城一尉!!監禁中の霧島マナを監視の男が部屋から連れ出しているらしいです!」

「なんですって!?」

「進んでいる通路から予測して、目的地は現在サードチルドレンを治療中の手術室らしいです!」

「ふふ・・・・・(監視の男・・・あんたなかなか「男」じゃない!!同情するわよ!!)」

ミサトは自分の思っていたことをすでに実行している者である「監視の男」に同情する。

「どうしたのミサト?」

そんなミサトにリツコは不信感をいだく。

「リツコ、私もシンジ君のいるところに行くわ!!」

「ちょ、ミサト!!」

「シンジ君の言葉の意味・・・・わかったような気がするの・・・・。心の硬いリツコには一生わからないかもしれないけど・・・」

「ミサト・・・何が言いたいの・・・?」

「つまりね・・・・「自分達の犯した罪は自分達で償え」・・・「犯した罪を無視すれば、必ず自分に重いしっぺ返しがくる」・・・そういうことなんじゃないの!!」

タッタッタッタッタッタッタ・・・・

ミサトは発令所から駆け出して行った。

「ミサト・・・・」

リツコはうつむいた。

 

 

通路

タッタッタッタッタッタッタ・・・

本部内の通路をマナと黒服の男が走っている。

銃を構えて走る黒服の男の後ろをマナが追って走っている。

 

 

発令所・司令席

「碇・・・このままだとシンジ君が死んでしまうかもしれないぞ?シナリオは変更できないのではないのか・・・?」

「ふ・・・問題ない。冬月、もうすでにシナリオは変更されているのだ」

「どういうことだ!?碇、私は聞いていないぞ!!」

「あと1時間もすればドイツから弐号機が輸送機で運ばれてくる」

「弐号機がだと!?むこう(ネルフドイツ支部)が許したのか!?」

「問題ない。むこうにもゼーレの人はいる・・・彼らは「人類補完計画」のためなら何も惜しむことはない」

「碇・・・何を考えている・・・?」

 

「赤木博士」

「っ!?何でしょうか碇司令」

うつむいていたリツコは一度ビクッっと震えた後、ゲンドウの方を向いた。

「初号機の応急修理をするんだ。数時間以内でできる限りのな。さらにあと1時間前後で弐号機が到着する、受け取りの準備をしておけ」

「何故です?碇司令。それに弐号機の受け渡しはまだ先の話のはず・・・」

「それに答える必要はない。命じられたことをすればいいのだ」

「・・・・わかりました」

ガチャ

リツコはマヤのオペレーター席にある電話の受話器を取った。

『初号機ケイジ内にいる全作業員に伝える。今から数時間でできる限りの応急修理をしなさい。頭部の損傷は無視しても構わないので腹部の修理を重点的に!』

ガチャ

「(碇司令・・・どういうことなんですか・・・?)」

 

 

 

「着いたか・・・・」

黒服の男とマナはシンジがいると思われる治療室に到着する。

《手術中》というライトが点灯していない・・・つまり手術は終了している、ということだろうが不自然だ。

いくらなんでも収容されて数十分で手術が終了するはずがない。

ブシュウ!

黒服の男はカードキーで治療室の扉を開いた。

そして二人は中に入った・・・・すると

「!?」

 

「なに・・・・これ・・・・・・」

二人が見たモノ・・・ここは治療室のはず・・・・だが、中にあったのはベッド一つと心電図の機械のみなのである。

そのベッドの上にシンジは寝かされていた。

シンジは治療をされず、「手術中」という偽りの報告だけで放置されていたのだ。

ピッ・・・・ピッ・・・ピッ・・・

心電図がまだシンジが生きていることを教えてくれる。

「シンジ・・・・シンジ!!」

マナはシンジの寝ているベッドに駆け寄る。

「シンジ・・・・私よ・・・・ねえ・・・シンジ・・・・・起きて・・・・」

マナは呼びかける・・・・しかしシンジは返事ができるわけがない。

「・・・・・・・・・・・・・」

黒服の男はマナの後ろで黙って立っている・・・・右手に銃を握ったまま・・・。

ベッドのシーツは血で赤く染まっている・・・早く本当に治療をしないと危険だ・・・と、それ以前にもう危険なのである。

ブシュウ!

扉が開き、ミサトが入ってきた。

「シンジ君の状態は・・・・って何この部屋!?」

部屋の中を見て事実を知り、ミサトも呆然とする。

「葛城一尉、霧島マナのことについては私の独断行為です。罪はすべて私に・・・」

その時・・・

 

ピーーーーーーーー

 

音とともに心電図がすべて真横一直線になる。

「嘘でしょ・・・シンジ・・・・ねえ・・・・・シンジ・・・・・・」

マナは絶望に包まれた。

「シンジ君・・・・・」

ミサトも同様だ。

「シンジ!!起きて!!お願いだから・・・・起きて!!目を覚まして・・・何か言って・・・・お願いだから・・・・・・」

スッ・・・

泣き叫ぶマナの右肩に、黒服の男は右手をおいた。

「やめるんだ・・・・もう・・・・「彼」を休ませてあげよう・・・・・・」

黒服の男はマナを自分の方に向け、そう言って首を横に振った。

「っ!!!」

バッ!!

マナは一瞬の隙をついて、黒服の男から銃を奪い取った。

「なっ、何をするつもりだ!!」

「や、やめなさい霧島さん!!」

マナはシンジがいるベッドに座った。

そして自分の頭に銃口をあてた。

「もう・・・・いいんです・・・・・シンジが死んでしまったのなら・・・・それでもいいんです・・・。私はシンジがいなければ生きられない・・・生きていられない・・・・。この数時間だって・・・シンジに生きさせてもらっていただけなんでしょ・・・?シンジがいなければ私は用済み、そうなんでしょ・・・?私も・・・・・シンジにツイテイキマス・・・・・」

「霧島さん!!やめなさい!!そんなことしてもシンジ君は喜んでなんかくれないわ!」

「そうだ。それは「彼」が君に望んだことなんかじゃないはずだ!」

必死に説得しようとするミサトと黒服の男。

 

「ねえシンジ・・・むこうで・・・会えるかなぁ・・・・。きっと・・・会えるよね・・・・?そうだよね・・・・?私達・・・むこうで一緒になれるよね・・?そうだよね・・・・シンジ・・・・」

 

スッ・・・

マナは銃のトリガーに指をかけた。

シンジに・・・むこうで会えますように・・・・

 

マナがトリガーを引くその一瞬前・・・

バシッ!!

手がマナの手から銃を弾いた。

ガチャン・・・

弾かれた銃は床に落ちた・・・。

 

 

そして・・・全ての時間が止まった・・・

 

 

 

 

 

続く

 


あとがき

ダダダダダダーク!ダーク!ダーク!(←おい!!)

すいません・・・今回はめちゃくちゃな話でした・・・(←おい!!)

 

次回・第5話「不可能を可能に・・・現実に」


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