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聖域のあらゆる場所で死闘が繰り広げられ散る中、ここだけは静寂を保っていた。
十二宮、第一の宮である白羊宮に相対する二人の戦士は微動だにしないまま数刻を過ごしていた。
その戦士の名はシオンと童虎。共に前聖戦を生き抜いた二人である。
「童虎よ。いつまでこうしているつもりだ・・・」
突如シオンが口を開く
「フッ。お主らのその一時の命が尽きるまでかの。」
「そうか・・・確かに我らには時間がない・・・いつまでも手をこまねいているわけにはいかんのだ!!」
ガッ!
シオンが地を駆ける。
ドガァ!!
シオンの拳が童虎にむかって放たれる。
しかし童虎は身を翻しその拳をなんなくと避ける。
「廬山昇龍覇――――!!」
ドォォォ―――ン!!!
童虎の必殺拳がシオンを直撃した。
壁が崩れ、大量の岩がシオンを押し潰す。
「・・・・・・・・・・」
!!
「オオアアァァァァ―――――!!!!」
シオンが凄まじい咆哮をあげながら瓦礫の山を吹き飛ばした。
「フッ。童虎よ。まさかこの程度で私に勝てるとは思っていないだろうな」
「くっ・・・・」
童虎の顔に汗が浮かぶ。
「やはり貴様の老いは確実だ。若き日の貴様の技ならば私も一撃で倒されたかも知れぬ。」
「だが、時の年月というものが貴様の力を衰えさせた!もはや貴様に勝機はない!!」
「ぐっ・・・」
そう。同じ前聖戦の生き残りといってもそれは243年前の話・・・童虎は普通の人間の寿命はとっくに過ぎているほどの高齢なのだ。
一方シオンはハ-デスより授かった若き頃の肉体がある。もちろん力も。
「さぁ。納得したのならおとなしく往生してもらうぞ童虎よ。」
シオンが拳を構える。
「ぐっ・・・それでも負けるわけにはいかぬ!喰らえシオンよ!!この技を!!」
童虎の小宇宙<コスモ>が急激に高まる。
「廬山百龍覇―――――!!!」
童虎最大の奥義がシオンを襲う。
「フッ。老いぼれの貴様が何をしようが無駄なのだ!!」
パァァァァン!!
なんとシオンは片手で百龍覇の威力を受け止めた。
「ば・馬鹿な・・・百龍覇を片手で・・・・」
「これが今の私と貴様との力の差だ。」
シオンが小宇宙<コスモ>を高める。
「そろそろ死んでもらうぞ!童虎!!」
「スタ-ダスト・レボリュ-ション!!」
「ウアアァァァァァ―――!!」
ドガァァァ!!!
シオン必殺の光速拳が炸裂した。
「ぬぅぅぅぅ・・・・・」
「これ以上老いぼれの貴様を痛めつける気にはなれん。」
「かつての友であった情けだ。苦しまぬように殺してやろう。」
シオンの拳が童虎に振り下ろされる。
「安らかに死ね!!童虎よ!!」
!!
「ダイヤモンドダスト―――!!!」
ゴォォォォォ―――――!!!
ピキィィ――ン!!
後方より凄まじい凍気がシオンに放たれた。
「老師!!ご無事ですか!?」
「氷河か・・・・お主・・・何故ここに?」
「聖域に異変が起きたと思い駆けつけてきたのです。」
「それでアテナに救援に来たところこの場に老師が・・・」
「氷河!今すぐアテナの元へ向かえ!!わしのことはいいから早く!!」
!!
「ガシャァァ――ン!!!」
「そうはさせんぞ!!童虎!!」
シオンがダイヤモンドダストの氷柱を砕いた。
「貴様!!何者だ!!?」
「貴様ごときヒヨッコが知るはずもなかろう。説明するのも面倒だ!!」
「何ぃ!もう一度喰らえ!!キグナスの拳を!!」
「ダイヤモンドダスト―――!!!」
ゴアアァァァァァ――――!!
氷河の凍気がシオンを襲う。だが今度はシオンは微動だにもしていない。
「奢るなよ小僧。不意打ちでなければ貴様の拳など何の役にたたん!!」
「ば・馬鹿な・・・ダイヤモンドダストをまともに受けて微動だにもしないとは・・・」
「氷河よ・・・あの男は前教皇でありムウの師であった男だ・・・」
「な・・ムウの・・・」
「さぁ!!どけぇ小僧!!」
ドゴァァ!!
「ガアァァァァ――!!!」
ドシャァァァ!!!
「急がなくとも貴様もあとで殺してくれるわ。童虎の首を落としたあとにな。」
「ま・まて・・・シオン・・・」
「オオォォォォォ!!!!」
!!
「カシャァァァァン!!!」
氷河が白鳥座<キグナス>の聖衣<クロス>をまとった。
「フッ。そんな傷だらけの聖衣<クロス>を身につけてどうするつもりだ?」
そう。氷河や星矢たちの聖衣<クロス>は先の戦いですでに破損状態なのだ。
「言わずとも知れたこと!!闘うのだ正義の為に!!」
「受けろ!!キグナス最大の拳!!」
「ホ-ロドニ-スメルチ―――!!!」
氷河の拳から凍気の竜巻が発生する!!
「ゴォォォォォ―――!!!!」
だがシオンはそれをも軽く受け流してしまった。
「お・俺の最大の拳すら通じないのか・・・」
「もういいな小僧。」
カッ!!
ドガァァ!!
シオンの拳により氷河が吹き飛ばされた。
「さぁ童虎よ!!そろそ・・・」
「な・・なんだ?この小宇宙<コスモ>は・・・」
「童虎から恐ろしく強大な小宇宙<コスモ>感じる・・・まるで243年前のような・・・・」
「氷河よ・・・よくやったぞ。おかげでわしもこの姿に戻る事ができた。礼をいうぞ。」
「老師・・・・」
ピシィ・・・
童虎の皮膚が剥がれ落ちる。
「ば・馬鹿な・・・あの姿は・・・・」
ピキィ・・キシィ・・
「オオオォォォォォ!!!」
童虎の咆哮とともに皮膚の全てが剥がれ落ちた。
「馬鹿な!!その姿は243年前の若き日の童虎!!」
「老師・・そのお姿はいったい・・・・?」
「フッ。わしの体には神々の仮死の秘法が施されていたのだ。」
「MISOPETHA-MENOSがな!!」
「これによりわしの心臓は今まで生きてきた243年間で1年で10万回しか動かなかったのだ。」
「な・なんと1年でわずかに10万回!!?」
「馬鹿な!!10万回といえば人間の1日にの平均的鼓動ではないか!」
「そう。わしにとって243年間は243日間にすぎなかったのだ!」
「ぬぅぅ・・恐ろしきはアテナよ・・・童虎にそのような仮死の法を施していたとは・・・」
「だが今の貴様に全盛期の力が備わっているかな?」
シオンが微笑を浮かべて口を開く。
「試してみるか?」
「来い!!天秤座<ライブラ>の聖衣<クロス>よ!!我が身を纏え!!」
カッ!!
シャキィィン!!!
童虎が243年ぶりに聖衣<クロス>を身に纏った。
「さぁ氷河よ!!ここはわしに任せてアテナの元へ向かえ!!」
「は・はい。」
ダッ!
「そうはさせるかぁ!!」
氷河が駆けた瞬間にシオンが駆ける!!
ドガァァァ!!!
「行かせはせんぞ。シオンよ。」
童虎の放った拳がシオンの足元を吹き飛ばした。
「くっ。なら童虎よ。貴様を倒してから行くまでよ。」
「本当に力も戻ったのか確かめてくれるわ!!」
カッ!!
お互いの放った拳の威力が中間の空間にくすぶる。
「どうだシオンよ・・・この中間にくすぶるパワ-を押し切れるか?」
「く・・・・」
ガッ!
「確かに力も戻ったようだな。ならお互いに秘技を繰り出す以外にあるまい。」
「受けろ!このシオンの拳を!!」
「愚かな!!自ら消滅を望むかシオン!!」
「スタ-ダスト・レボリュ-ション!!」
「廬山百龍覇―――!!!」
ガカァァ!!!
「あの閃光は・・・・老師!!」
「・・・・・くっ。」
氷河はまた階段を駆け上がった・・・
「なんだ?今の閃光は。十二宮の辺りでだったが・・・」
「沙織さんは無事なんだろうな・・・急がないと・・・」
!
「誰だ!!」
星矢が後ろを振り返る。
そこには血まみれのアイオリアを背負った男が立っていた・・・・
あとがきにしたいと思うもの。
うぃっす。
メッチャ久しぶりながおです。
最近学校とかバイト探しとかで時間がなくて・・・・っていきなりいい訳か!!!(汗
まぁSSのネタが切れかけたというのも原因ですけど・・・(汗
どの辺で童虎を若くするかとか締め方とかで結構悩みました。
これからはもうちょっと早く作りたいと思いますので(笑
次回はそろそろタ-ニングポイント的にしたいかな?とか思ってます。
ま、とりあえずアイオロスVS星矢ですけどね♪
つうわけで遅れたことをお詫びしてさよならで~~す♪
神々への戦い
がお
原作:聖闘士星矢
第十話 神々の秘法